「カスタマーサクセス」とは、3つの意味・概念を含む言葉である
色々なところに定義が転がっていますが、『「カスタマーサクセス」とは、実はまったく異なるが密接に関わる3つの意味合いで使われる言葉だ』ということは、意外と浸透していない気がします。
カスタマーサクセスは3つの概念を含む
前提扱いなのか、なんかあまり引用される機会少ない気がするのですが、
実は、カスタマーサクセスの教科書である通称「青本」には以下の記載があります。
「カスタマーサクセス」という言葉を使うとき、そこはまったく異なるものの密接に関係する3つの概念がある。①組織②原理原則③理念
「まったく異なる」が「密接に関係する」というのもポイント。
この3つの概念で捉えることで、世の中で使われている「カスタマーサクセス」という言葉をしっかり理解できると思います。
カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則
- 作者:ニック・メータ,ダン・スタインマン,リンカーン・マーフィー
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2018/06/06
- メディア: 単行本
①「組織」としてのカスタマーサクセス
「カスタマーサクセス」という言葉には、組織としての側面があります。
これはもうシンプルで「カスタマーサクセス部」「カスタマーサクセスチーム」とかと呼ばれる組織です。
「営業とカスタマーサクセスのつなぎ」「カスタマーサクセスに迷惑かかる」とか言うときは、組織としてのカスタマーサクセスですね。
リテンション率とLTVを最大化することを目的として、カスタマーエクスペリエンスに特化した組織のことです。
②「原理原則」としてのカスタマーサクセス
「カスタマーサクセス」という言葉には、原理原則としての側面があります。
例えば、
-
タイムトゥバリューが大切
-
カスタマーヘルススコアを見る必要がある
-
正しい顧客に売る
とか、要は青本に10の原則として書かれているような事項です。
「カスタマーサクセスのやり方に即してないよね」とか言うときは、原理原則としてのカスタマーサクセスを指しています。
③「理念」としてのカスタマーサクセス
「カスタマーサクセス」という言葉には、理念としての側面があります。
これは「顧客の成功と自社の成功を重ねる」というような意味で、
社長が「当社でもカスタマーサクセスを推進したい」とか言ってるときは、理念としてのカスタマーサクセスを指していることが多いですね。
カスタマーサクセスじゃない人にこそ理解してほしい「カスタマーサクセス」の意味
というわけで、
「カスタマーサクセス」という言葉には
-
組織
-
原理原則
-
理念
という3つの側面があります。そしてこの3つは青本によると、「まったく違う」ものの「密接に関係する」、というのもポイント。
カスタマーサクセスに直接関わっている人やしっかりしたSaaSでセールスとかしている人は、少なくとも直感的にこの3つの概念を理解していると思います。
例えば、SaaSでセールスマネージャーをしている人が、最近「SaaSのセールスで活躍する人は?」の問いに「カスタマーサクセスできる人」と答えているのを見ました。
このやり取りでの「カスタマーサクセス」は、「原理原則」としてのカスタマーサクセスであり、あるいは「組織」や「理念」としてのカスタマーサクセスでもあり、3つの側面が密接不可分であることをよく表していると思います。
だけど、ぜんぜん違う業界からセールスとして転職してきた人とか、今いる会社に突然「カスタマーサクセスチーム」ができた人からすると、この違いはちょっとわかりづらい。
なので、事業部長が
「うちの事業部も今期は(理念としての)カスタマーサクセスに注力していきたい!」
とか言っても、セールスメンバーは
「俺は関係ないや。(組織としての)カスタマーサポートに投資すんのかな?」
くらいに思いがち。
でも、そうじゃない。
カスタマーサクセスは理念であり原理原則でもあるので
カスタマーサクセスを推進するときは、マーケやセールスなど他部署も当事者としてまさに「トップダウンかつ全社で」推し進める必要がある。
こういうやりとりの為にも、青本とかに載ってる方法論以前に、「カスタマーサクセスは3つの側面を持つ」という共通理解が必要だと思うのです。
カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則
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