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カスタマーサクセスからプロダクトマネージャーを目指すなら読んだ方が良さそうな本

「将来的には、プロダクトマネージャーになりたい」というのは、
比較的若いカスタマーサクセス職からよく聞くキャリア展望です。
 
とはいえ、漫然とCSやっていてもプロダクトマネージャーへの道は拓けない、というのも事実。
そこで、取っ掛かりの一つとして、カスタマーサクセスからプロダクトマネージャー/プロダクトオーナーになりたいという方が読んでおいた方が良さそうな本をまとめました。

プロダクトマネジメントのすべて」

網羅的な良書です。比較的新しいですが、個人的にはとりあえず1冊だけ読むならコレかなぁ、と思う。

目次を紹介するだけで、魅力は十分伝わると思います。
  • 「PART I プロダクトの成功」で、プロダクトマネジメントやプロダクトマネージャーの全体像から始まり
  • 「PART Ⅱ プロダクトを育てる」では、"Core", "Why", "What", "How"の4階層からプロダクトのグロースを学びます
  • 「PARTⅢ ステークホルダーをまとめ、プロダクトチームを率いる」で、チームやリーダーシップに触れ
  • 「PARTⅣ プロダクトの置かれた状況を理解する」では、プロダクトライフステージ・ビジネス形態などの状況に応じた振る舞いを紹介し
  • 「PARTⅤ プロダクトマネージャーと組織の成長」では、プロダクトマネージャーのスキルや成長に焦点を当て
  • 「PRATⅥ プロダクトマネージャーに必要な基礎知識」で、具体的な必要知識に触れてくれます。
うーん、改めて網羅的良書。
この「プロダクトマネジメントのすべて」で全体像作りながら、気になるところは他の本も読むのがいいと思います。
 

「INSPIRED」「プロダクトマネジャーの教科書」 

いずれも充実した内容で、読んでいるプロダクトマネージャーは多いと思います。オススメされる頻度も高い2冊。

 

INSPIEREDは、IT企業でのプロダクトマネジメントを念頭に書かれています。網羅的かつ実務的な内容で、「とりあえずコレ読め」的に1冊目としてお勧めされることも多い本だと思います。若干読みづらいという声も聞きますが、例えば、ユーザーの声の集め方や質問リストの作り方など、細かなテクニックも紹介されていて良書だと思います。特に新規プロダクトに関わりたい方は、読んでおいて損はないと思います。

 
プロダクトマネジャーの教科書」は、メーカーとかも視野に入ったちょっと硬めの本。昔よりはスタートアップ界隈で言及される機会が減った気もしますが、普段スタートアップやSaaS寄りのインプットが多い人には逆に新鮮かも。硬めの本ではありますが、これくらい硬め・重めの本もサクッと読める方がプロダクトマネージャーとしてのキャリアは拓け易い気もします。
 

「リーン・スタートアップ」「Running Lean」

検証による学びをベースにした、スタートアップの方法論の教科書です。
若干古典になりつつありますが、カスタマーサクセスの知識・経験をプロダクトレベルまで視点を飛ばして捉え直す良い触媒になると思います。
例えば、カスタマーサクセスの青本の第一原則「正しい顧客に売ろう」は、CS職の方なら誰でもご存知だと思います。
で、青本をよく読むと「正しい顧客とは、プロダクト・マーケット・フィットを満たす顧客である」と書いてあるわけです。
じゃあ「『プロダクト・マーケット・フィット』って何?」って話は、この辺の書籍を読むとしっかり理解できるわけです。
カスタマーサクセスで言ったら、「リーン・スタートアップ」 が青本、「Running Lean」が実行戦略、みたいな感じでしょうか。
 

「ビジネスモデル・ジェネレーション」「バリュー・プロポジション・デザイン」

リーンスタートアップの方法論を、視覚的にまとめた姉妹本です。
最近あまり言及されない気がしますが、本エントリでこの2冊を勧めるのは、カスタマーサクセスの日々の感覚をビジネスレベルに昇華する良いきっかけ・触媒になり得ると思うからです。
「バリュー・プロポジション・デザイン」→「ビジネスモデル・ジェネレーション」の順で読むのが良いと思います。
「バリュー・プロポジション・デザイン」の中で触れられる「バリュー・プロポジション・マップ」は、顧客の課題(ジョブ)・痛み(ペイン)・利得(ゲイン)と自社製品の価値提案を対応させるもので、
「目の前の顧客の成功に向き合う」というカスタマーサクセスの思考を、「プロダクトレベルでの価値提案」まで視点を昇華してくれるきっかけになると思います。

 

 さらに「ビジネスモデル・ジェネレーション」の中で紹介される「ビジネスモデルキャンバス」は、以下の良さを持ちます。

  • カスタマーサクセス職が理解しやすい「顧客への価値提供」を中心に吸えている
  • それでいて、コスト構造や収益の流れやチャネルなど、カスタマーサクセス職をなんとなくやっているだけだと思い至らない視点を提供してくれる
 
そんなわけで、昔ほど見ることは減った気がしますが両方ともおすすめです。
 

そのほか、いろいろ

以上7冊紹介しましたが、正直、全然十分じゃない。
CS→プロダクトへのキャリアチェンジには、実際にはもっと色々なインプットが必要だと思います。
 
例えば、
思考系の本として、「イシューからはじめよ」とか、開発マネジメントという観点で、「SCRUM BOOT CAMP」「アジャイルサムライ」とか、
ジョブ理論」「キャズム」とか、コトラーとか読めというプロダクトマネージャーも多いと思います。
いろいろな企業の自伝・ケーススタディ的な本を読めと言う人もいると思います。
 
そもそも、世のプロダクトマネージャーって総じてインプット量が多いですよね。
強い知的好奇心を持って、本・人・新聞・ネット・SNS・・・様々なチャネルから大量のインプットを得る。それを自分の中で有機的につなげてプロダクトという形で世の中に問う。プロダクトマネージャーの仕事ってそんな側面もあるのかな、と思います。
 
なので、ここで挙げたような本は既に読んでいたり、
取っ掛かりとして上記のような本(それ以外でも)を読んでみて、それなりにスイスイ読み進められ、それに加えて自身の問題意識に従ってさらにインプットを広げたり深めたりしていけるような方は、カスタマーサクセスからプロダクトマネージャーへの道も拓けやすいのかなぁ、と思います。
 
あるいは、こういう本をインプットしておくと、普段のプロダクトフィードバックの質がちょっと変わって一目置かれて、結果として社内でプロダクトマネージャーへの道が拓かれ易くなるかもしれません。
 
ラインナップとしては全然不十分だと思いつつも、そんな気持ちで、取っ掛かりになればと思い「カスタマーサクセスからプロダクトマネージャーを目指すなら読んだ方が良さそうな本」をまとめてみました。