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カスタマーサクセスの必読書&おすすめ本

「カスタマーサクセス(Customer Success)」とは、主に継続課金型のビジネスで、顧客を成功に導く一連の活動や組織を指します。
継続課金型のビジネスの増加や、下記「青本」の出版などもあり、日本でもだんだん一般的な概念となりつつあります。
 
そんなカスタマーサクセスの「必読書」と言えそうな本やオススメの本ご紹介します。
 
<目次>

 

カスタマーサクセスど真ん中系の本

まずは、カスタマーサクセスど真ん中の本から。最初の4つをバーっと雑に読むだけでも相当カスタマーサクセスの土地勘が磨かれると思います。
(逆にこの辺の知識・単語が入っていないと、カスタマーサクセスの人との会話がスムーズに行かないこともあると思います。)

「カスタマーサクセス」

カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則

カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則

 
【必読】
そもそも「カスタマーサクセス」という概念が日本で一般的になったのは、この本の翻訳版が2018年に出版されたことに依るところが大きいです。
カスタマーサクセス界隈では青本」と呼ばれ、2018年が「カスタマーサクセス元年」と呼ばれる、それくらい有名な本。カスタマーサクセスに関わる人にとって前提知識・常識扱いされていると言っていいと思います。
「10の原則」でまとめられているので、自分のビジネスに適用するときのチェックリストっぽく使えるのもポイント。
 

「カスタマーサクセスとは何か」

カスタマーサクセスとは何か――日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」

カスタマーサクセスとは何か――日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」

 
【必読】
青本」に対して「赤本」って呼ばれたりします。青本アメリカで書かれた本の翻訳なのに対して、「赤本」は日本で書かれた日本向けのカスタマーサクセス本です。
特に第2章の「カスタマーサクセスとはいったい何か」あたりは、実務的示唆にあふれ、参考になる部分多いのではないかと思います。
 

「カスタマーサクセス実行戦略」

※2020年11月に増補改訂されています!
日本でカスタマーサクセスをリードするSansanの方が書いた本。
青本より赤本より実務的。個人的には青本→実行戦略→カスタマーサクセス・プロフェッショナル(後述)という順番で読むのがいいかな、と思います。
青本では触れられていない、「カスタマーサクセスの成熟モデル」や顧客ライフサイクル(Onboading => Adoption => renewal => Canceled)などの概念が紹介されており、実際カスタマーサクセスに関わる方なら絶対頭に入れておいたほうがいい本だと思います。
(2020年7月までこの辺の情報がまとめられているのが、Gainsightのサイトか下記のGreenBookしかなくて、日本語資料なかったのですが「やっと出たか!」という感じ。)
 

「カスタマーサクセス・プロフェッショナル」

2021の新刊。必読。

カスタマーサクセスの実践に必要な情報が網羅的かつボリュームたっぷりに語られています。訳者(=「赤本」著者)の前書きに詳しいですが、各章単位で内容が完結しているので、必要な箇所を重点的に読むのが良さそうです。具体的には以下の通りです。
  • CS歴が浅い方 => 第1部「カスタマーサクセスとは何か、なぜそれは素晴らしい仕事なのか」から
  • CSを既に数年実践している方 =>第3部「カスタマーサクセスの実践」から
  • CSを統括する責任者の方 =>第4部「優れたカスタマーサクセスマネジャーを育成し、流出を防ぐ」から
通読もいいですが、手元に置いておいて辞書的に使えそうなタイプの本。
目次をご覧いただくと網羅感がわかると思います
amazonのこちらのページから<続きを読む>クリックで目次確認できます)

"Farm Don't Hunt" 

【おすすめ】
青でも赤でもなく緑のやつです。内容的には本当によくて、青本よりわかりやすく実務的という声も多く聞きます。内容的には必読だと思います。が、如何せん英語なので、ハードル高いですよね...。なので【必読】ではなく【おすすめ】。
"The Customer Success Cycle"の概念とか、分かりやすくて感激しました
 
ただし、上述カスタマーサクセス実行戦略カスタマーサクセス・プロフェッショナルが日本語で出た今となっては、英語得意な人が読めばそれでいいかなぁ、とも思います。(それまではGoogle翻訳使ってでも読む価値あったと思うのですが)
 

サブスクリプション

カスタマーサクセスの流行の背景には、サブスクリプション(月額課金)ビジネスの増加があります。
そのため、サブスクリプションそのものや、サブスクリプションビジネスでのセールスプロセス一般(レベニュープロセスとか呼ばれます)について理解を深めておくと、カスタマーサクセスについてもより深い理解が可能になります。
 

 「THE MODEL」

必読。
【必読】
カスタマーサクセス自体を深掘りするのではなく、セールスやマーケといった周辺工程も含めたレベニュープロセス全体を把握するならこの一冊。
この本の内容は、SaaS界隈では完全に前提知識扱いされちゃってます。この本に書いてあること知らないと、他部署の人や他社の人と会話がしにくくなるレベル。
 

 「サブスクリプションマーケティング」「サブスクリプション

サブスクリプション・マーケティング――モノが売れない時代の顧客との関わり方

サブスクリプション・マーケティング――モノが売れない時代の顧客との関わり方

 
サブスクリプション――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル

サブスクリプション――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル

 

 

【おすすめ】
カスタマーサクセスの背景にあるサブスクリプションビジネスそのものについて理解を深めるならこの2冊。toCの事例とかもあって面白いです。
 「青本」の第1章のタイトルが「サブスクリプション津波」となっていることに象徴されるように、カスタマーサクセスを理解する上では、サブスクリプションビジネスとの連続で捉えることが非常に重要です。
 

各論や昔の本

 「CRMの基本」「CRM-顧客はそこにいる」

CRMの基本

CRMの基本

 
CRM―顧客はそこにいる (Best solution)

CRM―顧客はそこにいる (Best solution)

 
【おすすめ】
カスタマーサクセスという言葉が使われる前から、カスタマーサポート以外にも近い言葉で「CRMなんてものがあったわけです(今もありますが)。
そのCRMについて日本語で書かれた良書を2冊。
カスタマーサクセス関係者でも意外と読んでいない人が多い印象なのですが、歴史を知り、その差分としてカスタマーサクセスを理解することで、より実務での応用に幅が出る気がします。
 

 「おもてなし幻想」

おもてなし幻想 デジタル時代の顧客満足と収益の関係

おもてなし幻想 デジタル時代の顧客満足と収益の関係

 

【おすすめ】

「カスタマーサクセスって手間かかるなぁ、どこまでやればいいんだろう」的な問題意識であればこの一冊。
何でもかんでもこちらでやることが顧客のためにもならない、という話がデータとともに紹介されています。 
(個人的には、そこまで抜群に良い本・新しい本とも思わないのですが、カスタマーサクセス界隈で引用されることが多いので一応)

「 売上につながる『顧客ロイヤルティ戦略』入門」

売上につながる「顧客ロイヤルティ戦略」入門

売上につながる「顧客ロイヤルティ戦略」入門

 
【おすすめ】
「ロイヤルティ」とか「エンゲージメント」にフォーカスしたマーケティングの教科書。NPSやロイヤルティの段階について解説した良書。
カスタマーサクセスとは、つまるところロイヤルティだ 
↑は、「青本」の最初の方に出てくる一節ですが、カスタマーサクセスは、既存顧客に対して改めてロイヤルティを高めるマーケティングという側面が強くあり、その意味でも役に立つ1冊です。
 
NPSを安易に使う人が最近多い気がするんですよね。 NPSの背景とかを知るならこの本がおすすめです。
 

リーン・スタートアップの方法論系書籍

カスタマーサクセスという組織がSaaSやスタートアップ界隈で導入されていることが多いのもあって、スタートアップの方法論を知っているとカスタマーサクセスに関する知見も理解が深まり、応用が利くようになったりします。
(例えば、「青本」でも「プロダクト・マーケット・フィット」という言葉を知っているのが前提となっているのですが、その辺は以下の本の知識が前提になっているということです)
 

 「リーン・スタートアップ」

リーン・スタートアップ

リーン・スタートアップ

 
【おすすめ】
検証による学びをベースにした、スタートアップの方法論の教科書。
翻訳版で2012年と古いですが、「当然読んでますよ」と言っておきたい一冊。 

 「Running Lean」「ビジネスモデル・ジェネレーション」「バリュー・プロポジション・デザイン」

Running Lean ―実践リーンスタートアップ (THE LEAN SERIES)

Running Lean ―実践リーンスタートアップ (THE LEAN SERIES)

 
ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書

ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書

 
バリュー・プロポジション・デザイン 顧客が欲しがる製品やサービスを創る

バリュー・プロポジション・デザイン 顧客が欲しがる製品やサービスを創る

 
【おすすめ】
「リーンキャンパス」関連の書籍を3冊。
顧客に提供する本質を凝縮して表現したもの、それがバリュー・プロポジションである。「本当のところ誰に何を売るのか」に対する答え、と言ってもよい。バリュー・プロポジションは戦略ストーリーの起点であるコンセプトを定義する。<中略>それだけにバリュー・プロポジションの決定は容易ではない。<中略>洗練されたバリュー・プロポジションへと磨き上げるツールがここにある。
↑「ストーリーとしての競争戦略」の楠先生が「バリュー・プロポジション・デザイン」に寄せたコメントが素敵。
 
「カスタマーサクセス」というコンセプト自体が「バリュープロポジション」「プロブレムソリューションフィット」「プロダクト・マーケットフィット」といった概念・思想を前提とし、深く関わっています。
 
この3冊あたりの知識押さえられていると、経営とカスタマーサクセスを本当につなげて語りやすくなる(そうあるべき)気がします。
 
 
今後、随時追加していきたいと思います。