新任マネージャーは「問題を放置する」オプションを持つべき
新任マネージャー、特に若いマネージャーが陥りがちな失敗パターンの一つに「くすぶってるメンバー、問題児を構いすぎて、成果上がらず組織も崩壊する」というのがあると思います。そんな時、「問題を放置する」オプションを持つと意外とすんなり解決するケースがある気がします。
「問題を放置する」とは
ここではわかりやすく、全員が同じ営業目標を追っている営業組織を想定します。
上記のような組織のマネージャーが、「未達の原因は?」と営業部長に詰められたら「Aさんの未達です」となりますし、「くすぶっているメンバー」としてAさんが指導対象になるのは容易に想像できます。
が、これが失敗のもとになるケースがそこそこある気がするのです。
くすぶってるAさんはどんな人なのか
くすぶっているAさんはどんな人なのでしょうか?
未達続きで成果を出す感覚自体わからない人かもしれませんし、もしかしたら昔は達成できていたがここ1年間何かの理由でスランプに陥っている人かもしれません。
いずれにせよ、結果が出ていない人というのは(全てではないですが)それなりの確率で負のスパイラルに陥っていることがあります。
負のスパイラルに陥っている人をV字回復させるのが難しいというのは、マネージャーに上がる人ならこれまでの経験からなんとなくわかるはずです。
他方で達成しているCさんは?
他方で、すでに120%ぐらい達成しているCさんはどんな状態でしょうか?
常時達成のエースかもしれませんし、転職組ですごく気合が入っている大物ルーキーかもしれません。いずれにせよ「ノっている」状態の人である可能性が高いです。
これもマネージャーに上がる人ならわかると思うのですが、成果が出ている人は「いいスパイラル」に乗っていることが多いものです。そういう人には機会さえ与えればどんどん成果を出していきます。
つまりこういうことです。
そうだとすると、組織の成果最大化という観点からすると未達のAさんを100%にするために介入するより、すでに120%の達成をしているCさんをさらに鼓舞して(場合によって商談も集中させて)、150%達成を目指させた方が、近道になるケースがあると思うのです。
すなわち、以下のイメージです。
(補足)
便宜上「問題を放置」と書きましたが、「問題」とは理想と現実のギャップです。なので、より正確にいうと「全員が達成してチーム達成」という理想状態を捨てて、「Cさんが引っ張ることで、多少未達がいてもチーム達成」と理想状態を定義し直すことで「問題(ないし問題点)を定義し直した」とするのが正確かもしれません。
様々な組織形態で検討可能なオプション
ここではわかりやすく営業を念頭に話しましたが
- マーケティングでチャネル別分業体制をとっている組織
- 事業企画系でテーマ・論点ごとに分担している組織
でも似たような話ができると思います。
そもそも、「マネージャーの成果」をシンプルに定義すれば、「自分が管轄・影響する組織の成果」です。(参考記事↓)
マネージャーに上がると「人と向き合わなきゃ」「成長を促さなきゃ」みたいなイメージを持ちがちですが、それはあくまで「組織成果」という観点からすると一つの手段・オプションに過ぎない。
少なくとも短期的な「組織の成果最大化」という観点からすると「問題児の更生」は難易度が高くコスパが悪いオプションのことが多いです。特に若くしてマネージャーに上がるような人は、ご自身の力で「いいスパイラル」に乗り続けていることが多いため「くすぶっている人」の状態を解像度高く理解できないことも多い。
それにもかかわらず、一番難易度の高い「問題児の更生」に手をつけてしまい、時間を取られ、成果も出ず、チームの雰囲気も壊れ、、、という失敗パターンをいくつか見てきました。
だったら、少なくとも短期的には「問題を放置」して、逆に自分のチームの長所に目を向けてそこをもっと伸ばす方向で組織全体のアウトプットを最大化する、というのは新任マネージャーとして持っていて良いオプションだと思うのです。