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営業出身者が企画系にチャレンジする上での3つのポイント

セールスの現場の人や、カスタマーサクセスの中でもやCSMと呼ばれる現場の人と話すと、結構キャリアに悩んでいる人がいます。
特に若手で、「いつまで営業の現場にいるのか」「このまま営業Mgrになるのか」みたいな悩みを聞くことが多い。
 
そんな悩みを持つ方にエールを送るエントリーです。
 

営業の経験は、事業運営に役に立つ

前提として、セールス職自体価値がありますし、
セールスの経験は事業を運営する上でとても重要(マーケや事業企画に行っても役に立つ)だと思っています。
 
セールスの経験は事業を運営する上で重要となる理由は2つあります。
 
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1つめは事業の根本である「顧客理解」の方法が身につくこと。
これについては、コンサル出身の方が書いた この記事 がとてもわかりやすいので引用します。
 
事業ってすごい色々な角度で見て、自分が持ついろいろな引き出しを開けて、組み合わせて、ようやく筋がいい施策だったりが見つけられるもの。フレームワーク、なにそれおいしいの?状態です。
 
コンサル志望の学生が嫌う、泥臭く地を這って顧客を理解してきた営業出身者のほうがよほど事業企画、開発ができるのです。
 
なぜなら、事業とはすなわち顧客理解に他ならないからです。世の中の理解ではなく、顧客理解がキーだと僕は思っています。
1週間かけて現場のヒアリングした経験?そんなもんで理解できるなんて考えは甘い。
顧客理解は、顧客観察であって、ヒアリングではない。ヒアリングしても見える本質には限りがあると。
本気で売ろうとしてこそ得られる顧客理解があり、
事業とはすなわち顧客理解に他ならないからです。
 
 
2つめは、単純に自身のセールススキルが、事業責任者として「奥の手」になること。
事業責任者は、当然損益責任を負います。
「今期どうしても黒字にしたい」「あの大手アカウントを落とすと、市場から退場させられるリスクがある」みたいな場面で、
最後の最後にトップセールスで売り切る能力があるのとないのでは、事業としての仕上がりが全く変わります。
 
そんなわけで、営業の経験は事業運営に役立ちます。
 

営業出身者が企画系にチャレンジする上での3つのポイント

とはいえ、セールス出身者が全員、事業企画やマーケティングあるいは事業責任者として活躍するかというとそうではない。
では、活躍しやすいのはどんな人か、という点について、少し考えてみました。
 
色々ポイントはありますが、ここでは大きく3つのポイントを紹介したいと思います。
 

ポイント1:1対1で勝てること

 
大前提として、セールスの基本である1対1での営業力がある方が、他のキャリアでも活躍しやすい気がします。必須ではないけど。
それは、上述の「営業出身者が事業企画等として活躍できる理由」(=①顧客理解スキルがある、②究極自分で売れる)を、セールスで成果出している方ほど満たしている可能性が高いからだと思います。
 
また、セールスで成果を出す方というのは概してバイタリティが高く、事業企画や事業責任者には高いバイタリティが求められる、という点も影響しているかもしれません。
 

ポイント2:1対1の勝ちパターンを抽象化・型化できること

 
ただし、1対1で勝てるだけだと、セールスとしては成功しても、なかなか他のキャリアで成功しづらい気がします。
 
もしセールス以外でキャリアを形成するなら、
自分の勝ちパターンをいい塩梅で抽象化・型化できることが必要だと思います。
 
「こういう顧客の場合はこうする」みたいな自分の勝ちパターンを、粗すぎず・細かすぎもせず、いい塩梅で型化できる方はセールスとしても結果の再現性が保てますし、マーケティングや事業企画等のポジションでも成功しやすい気がします。
 

ポイント3:抽象化したものを、たくさんに適用できる形に仕立てられること

 
自分の勝ちパターンを抽象化できても、それだけではバリューは発揮できません。
それを、複数の顧客に適用する形に「仕立て」られるかというのが、セールスから事業企画等へのキャリアチェンジのポイントになります。
 
ここが苦手な人は、少し外の会社のビジネスとかを勉強するだけで、一気にここがブレイクスルーされたりケースがあると思います。
 
意外とここでつまづく人はいて
すごく体系化された顧客理解やセールスとしての引き出しは持っているのですが、「仕組みに仕立てる」という発想が持てない。
仕組みに仕立てようとすると、当然自分が営業の現場に立つ時には考えにくい副作用のようなものが発生します。例えば、「XXという顧客にはすごく効く施策が生まれたけど、それをやることでYYという顧客のロイヤルティが下がる。」みたいな。
この辺に配慮しながら仕組みに仕立てる発想が持てないと、自分の勝ちパターンを抽象化・型化できたとしても、何も現実を変えられれず「いや、会社はほんとはこうすればいいんだよ」と評論家的に言うだけでの残念な人になってしまいます。そういうベテラン営業、たまにいませんか?
 
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セールス組織が一定規模以上になると、プロセス管理やセールスイネーブルメントが進化します。
それ自体は組織として望ましいのですが、プロセス管理やイネーブルメントが強烈になってくると、
「1対1の勝ちパターンを抽象化」するのはイネーブルメントやセールスフォースの仕事になってくるし、
「抽象化したものを、たくさんに適用するような形に仕立てよう」という発想が現場のメンバーから弱まってくる気がします。
そうなると、現場の若手メンバーにキャリアが開けにくくなるし、結果として組織に元気がなくなり、中期的には弱体化が進む気がします。
なので、経営サイドには、セールスメンバーにこのような発想を持つ余裕を持たせる努力をしてほしいし、
現場の若手には、大変なのはわかるけど、こういう発想にチャレンジし続ける気概を持ってほしいなぁ、と思います。
この辺、リクルートって会社はすごいですよね。
 
 

営業職に幸あれ

セールスやカスタマーサクセスの現場の仕事って、結構大変なこと多いです。顧客接点なので、まぁ色々言われる。
他方で、利益を生んでる人たちであるのは間違えなく、企業において、もっと尊敬を集めていい仕事だと思います。
でもなんとなくスタートアップが一定規模以上になると、セールスの現場(特に若手)に元気が無くなっていく気がしていて、それを悲しくみていました。
 
そんな若手にエールを送りたく、この記事を書きました。
セールス自体も価値ある仕事で、好きならそのまま続けてもいいと思うし、
徹底的な顧客理解につながるセールスの経験は、セールスはもちろん様々なキャリアにつながる(かつ、コンサルとか企画上がりの奴ら(と敢えて言う)には持ち得ない)営業出身者に稀有な経験です。
 
素敵なキャリアを歩むきっかけになればとても嬉しいです。