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インサイドセールスがセミナー・展示会を管轄すべき理由

The Modelではインサイドセールスはイベントを担当しないが...

インサイドセールス」という組織が日本でもだいぶ一般的になってきました。
コロナ禍の影響もあり、インサイドセールス機能の立ち上げや作り直しを会社から求められている方も多いと思います。
 
インサイドセールス」が一般的になった大きな理由の一つは、超名著"The Model"です。
その中で、インサイドセールスは以下分業体制の中で語られます。すなわち
マーケティング: ウェブ広告・展示会・メール・DMなどの手段でリード(見込み客)のリストを作る
インサイドセールス: マーケが作ったリードに電話して、商談化する(アポを切る)
フィールドセールス: 商談して受注する
カスタマーサクセス: 受注した顧客を継続させ、LTVを最大化させる
という4つの組織の分業体制の、2番目の工程がインサイドセールスです。
 
上記分担の原則からいくと、展示会・セミナーなどのイベントはマーケの管轄です。
ところが実際には、この原則論をちょっと崩して、
展示会・セミナーにインサイドセールスが大きく入り込んでやっていたり、
さらに一歩進んでインサイドセールスが完全にイベントを管轄してるってフォーメーションを割と見る気がします。
 
その理由について考えたいと思います。
 

インサイドセールスが展示会・セミナーを担当する理由

理由1 :イベント後のアプローチがスムーズ

1つ目にして最もよく語られる理由は、イベント後のアプローチがスムーズになることです。
 
当然の前提として、イベントにいくら沢山の人が来て、名刺情報を集めても、
それが商談→受注と繋がっていかなければ一銭にもなりません。
 
そしてイベント系のリードは
 ① 時間経過とともに冷めていく
 ② 一気に大量に発生する
という特徴を持ちます。
 
「①時間経過とともに冷めていく」は、イベント参加した方ならわかると思います。
イベント終了直後は「あぁ、なるほど。具体的にこういうことやるのか。」と意欲的なのに、
翌日には「昨日のイベント面白かったなぁ(内容はうっすら)」
翌週には、イベント出たことも忘れてる、、みたいな。
 
ただし、時間経過で冷めていくのは、Web経由のリードも同じです。
 
そこでもう一つの重要な特徴が「②一気に大量に発生する」です。
 
イベントのリードは一気に大量に発生するので、イベントの後、
インサイドセールスは時間経過しないうちに大量のリードを捌かなくてはいけない。
しかも展示会だと、他社のブースにも寄っているはずだから、なおさら早く連絡したい。
 
なので、イベント→イベント後アプローチのオペレーション面での繋ぎこみが重要になります。
 
マーケが雑に名刺情報を渡すのと、インサイドセールスの具体的なオペレーションまで想定してイベント運営が設計されるのでは、成果レベルは変わるわけです。
例えば、もらった名刺のリスト化のスピード感とかアプローチ優先順位の考え方とか、展示会場でどこまで説明するかとか。そういう設計をやり切っているかどうかで、その後の商談化率には差が出ます。
 
もちろん、マーケ担当者がその辺気遣いながらイベント設計してもいいのですが、
だったら企画段階からインサイドセールスを巻き込んじゃった方がいい。
さらにそれを一歩進めて、インサイドセールスにイベントの管轄を渡して、マーケはWebとかに専念させているフォーメーションも見ます。
(より具体的には、大規模展示会でもらった500枚の名刺のうち特にアツイ名刺20枚だけはバックヤードで即日リストに打ち込んで翌日朝には架電したり、インサイドセールスメンバーを展示会の現場に投入してその場で商談アポ取らせるなんてオペレーションもありますね。こういうのは、インサイドセールスが深く企画から入っていないと構築しにくい。)
 
この「後工程との繋ぎこみ」が、インサイドセールスがイベントに深く関わる主な理由です。
ただ、実際イベントにインサイドセールスが関わることのメリットはそこだけではない、というのが個人的な見立てです。そこで理由の2と3です。
 

理由2 :インサイドセールスメンバーの顧客理解が進む

理由の2つめは、インサイドセールスのメンバーが現場に出ることで顧客理解が進むことです。
 
そもそも我々は様々な情報を使って顧客・業界理解をしています。
「何を言っているか」だけではなく、表情・仕草・服装など様々な五感の情報を使って立体的な顧客像を作ります。
 
インサイドセールスだけをやっていると、インプットが音声情報に限られるので、今一歩立体的な顧客理解を構成できないことがあります。
そんな時、セミナー会場で実際手伝いをさせたことで「顧客のイメージができた」とパフォーマンスが上がったなんてことを実際に見たことがあります。
 
さらに、もし当日接客したのがインサイドセールスのメンバーだったりすると「先日ご挨拶させていただいた●●です。ご来場ありがとうございました。」と言えるので、イベント後の架電もスムーズになったりします。
 

理由3 :インサイドセールスメンバーの気分転換・晴れ舞台

3つめは、イベント自体がインサイドセールスメンバーの晴れ舞台になることです。
 
そもそも、インサイドセールスの仕事って正直大変です。
一日中オフィスあるいは在宅で、大量に電話をかけ続ける。
いろいろ工夫はするのですが、メンバーレイヤーだとやっぱり行動量が成果に直結するところがあるので、なんやかんや行動量が求められます。
 
正直、ちょっと滅入っちゃうメンバーもいます。
 
実際外に出て顧客と接するイベントというのは、一部のインサイドセールスメンバーにとってはちょっとした気分転換であり、晴れ舞台になったりするわけです。
 
現場でフィールドセールスやマーケの人と話して、社内の情報交換や相互理解が進むのもよく見る光景です。
 
結果として、長期でパフォーマンスが安定したりします。
 

もちろんデメリットもあるが、一考に値するフォーメーション

もちろん、イベントをインサイドセールスに管轄にすることのデメリットもあります。
イベント運営のスキルセットを持つ人間を配置しなくてはならないし、メンバーをイベント当日現場にアサインすれば、当然に、その分架電の行動量は落ちます。イベントの集客とかはマーケにやらせた方がうまくいくこと多いし。
 
そのデメリットとのバランス次第ですが、個人的には、イベントをインサイドセールスに仕切らせるというフォーメーションは「割とアリ」と感じています。
変化球として、「セミナーリードだけは、マーケにインサイドセールス機能持たせて当日運営とアポ両方やらせる」なんてフォーメーションもやったことあります。
 
イベント運営って、どうせ人手がいるわけです。で、どうせ誰かが巻き込まれるわけです。
だったら、上記の副作用的なシナジーも狙いながら、インサイドセールスをしっかり巻き込んで進めてしまった方がお得な気がしています。