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成果=環境×戦略×実行能力 〜企業経営を統合的に説明するシンプルなフレームワーク

儲かる会社と儲からない会社は、何か違うのか

今も昔も、経営学・経営実務の最大の問いの一つは
「儲かる会社と儲からない会社は、何か違うのか」です。
 
そして、私が知る限り、これを一番シンプルに説明したフレームワーク
 
成果=環境×戦略×実行能力
 
です。
 
私は、これを数十年の経験を持つ、超ベテランコンサルタントから教わりました。
このフレームワークは、(細かい正しさはさておき)日本の歴史に重ねて理解するのがわかりやすい、と思っています。
 

要素その1:環境

高度成長期、日本では多くの企業が今では考えられないスピードで成長していました。
これは、先人たちの頑張りももちろんありますが、それより正直、固定相場、人口ボーナス、その他の政治的・社会的要因が働いた部分が大きい。
もっと平たく言えば
「景気がよい業界・エリアにいれば、多くの会社は儲かる」
これは揺るぎない事実です。
 
その意味で、会社の成果は環境が決める。
その証拠に、バブル崩壊後、多くの会社が不振に陥りました。
 
この意味で、会社の業績は環境に依存します。
 

要素その2:戦略

ただ、バブル崩壊後でも、好業績を続ける会社もありました。
あるいは、好況下でも、潰れる会社はある。
 
90年代、不振にあえいだ日本企業はその答えを探しました。
そして
「戦略の不在」という問題に気づきました。
 
多くのケーススタディーが示す通り、戦略の正否は、企業の業績を大きく左右します。
 
そして日本企業は、多額のフィーをコンサル会社に払い、こぞって戦略を立てたのです。
 
会社の業績は、戦略にも依存します。
 

要素その3:実行能力

かくして、日本企業は戦略という武器を手に入れました。
しかし、それでも企業の業績には差が出た。
 
なぜか。
 
戦略を実行する能力に差があったからです。
 
例えば、コストリーダーシップ戦略を取ったところで、
それを実現するオペレーションや人材がなければ、コストは下がらないのだから、当然競争優位は生まれない。
 
「戦略は絵に描いた餅」と揶揄されたこの時代に、日本企業は戦略は実行能力を伴わないと意味がないことに気づいたのです。
 
時代は総合コンサルファームによるBPR→ERP導入の最盛期を迎えました。
(私もこの時代の後期にコンサルをやっていたので、ERPではないものの「戦略とオペレーションの間」みたいな領域で、結構お仕事させてもらいました。)
 
会社の業績は、その実行能力にも依存します。
 

3つの要素は「掛け算」

かくして、成果を決める3要素
1.環境
2.戦略
3.実行能力
が出揃いました。
 
現代において、この3つの要素は掛け算です。
 
景気のよい業界にいるだけでは、当然勝てない。戦略だけ美しくても、勝てない。実行能力だけあっても、ダメ。
どれかゼロなら成果もゼロだし、3つの要素がうまく噛み合わないと、成果は望めないのです。
 
その意味で、3つの要素は掛け算です。
 

シンプルさが魅力のフレームワーク

マッキンゼーの7Sとか、バランスドスコアカードとか、企業経営を統合的に説明しようとしたフレームワークはたくさんあります。
 
でもぶっちゃけ、7Sとか、理解するだけで結構難しいです。使う相手を選びます。
(かく言う私も、正直5つくらい言った後に、「あれ、あと2つ何だっけ?」ってなりがち。もちろん、企業経営は複雑なものなので、過度なシンプル化は危ないと思います。でも、シンプルに考えたい時もある。)
 
そんなとき、超シンプルに
成果=環境×戦略×実行能力
おすすめです。