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非人事向け 賃金・給与制度がサクッとわかった気になる記事

本記事は、人事じゃない人が「賃金制度」「給与制度」について「なんとなくわかった気になる」ことをゴールにしています。
 
別記事で解説の通り、「賃金」は「等級」「評価」と並んで、人事制度の根幹をなすものです。
以下では、賃金制度の仕組みについて、主に「給料がどうやって決まるのか」という観点から解説をしていきます。
 

賃金の4つの要素

実は賃金制度というのは色々な説明があって、意外と「これがスタンダード!」的な体系の説明がない気がします
 
その前提で、私は以下の4つに分けるとわかりやすいんじゃないかな、と思っています。
  • 基本給と残業代
  • 賞与
  • 手当
  • その他
 
そして、もう一つ重要なポイントは、給与制度は上記のいろいろな仕組みの「組み合わせ」だということです。
以下、それぞれについて解説していきます。
 

基本給と残業代

基本給というのは、「月20万円」のように、基本的に毎月支給額が決まっている給与です。
基本給はどうやって決まるかというと、多くの場合、等級制度で決まった等級(グレード)によって決まります。
言い方を変えると、
  • 等級制度が「能力」等級なら、基本給は「能力」で決まる
  • 等級制度が「役割」等級なら、基本給は「役割」で決まる
これは働いていれば、なんとなくわかる話ですね。
 
そして残業代は、基本給とセットで考えた方が覚えやすいと思っています。
理由は2つありまして、
1つ目は、そもそも残業代は、基本給から時給を計算して、それに割増分を掛け算して算出されるものだから。
2つ目は、スタートアップ界隈だと「みなし残業」がめっちゃ多くて(是非はともかく)、基本給と残業代を分けて考えること自体少ないから。
 
そんなこんなで、等級とセットで決まるものとして、基本給と残業代があります。
 

賞与

賞与というのは、年1-2回程度支給される賃金です。要はボーナス。
 
賞与の決まり方は大雑把に2つあります。
 
1つ目は、個人のパフォーマンスによって決めるやり方。
例えば、能力等級や役割等級をベースとしている会社だと、個人の業績・成果を人事評価を経てボーナスとして支給することが多いですね。
  • 今年は個人目標を130%達成した →賞与10万円
  • 今年は個人目標は75%で未達   →賞与5万円
みたいな。
(セールスとかだと個人のパフォーマンスを月次の給与に反映させるところもあって、これは基本給とか手当に近い扱いになるかと思います。)
 
2つ目は、会社や組織のパフォーマンスによって決めるやり方。
  • 会社(事業部)の業績が良い → ボーナスはドンと5ヶ月分
  • 会社(事業部)の業績が悪い → ボーナスはなし
みたいな。
(この場合も「●ヵ月分」のベースになる1ヵ月分の給与は基本給(←等級で決まる)なので、等級によって決まっている部分は大きいですね。)
 
多くの会社は上記2つ(個人の業績と組織の業績)を組み合わせて使っているような気がします。
 

手当

手当は、3つに分けるとわかりやすい気がします。
 
1つ目は、実質的に基本給とセットになるものです。
例えば、能力等級の会社で「役職手当」が支払われているケースとか。これは、能力等級の弱点を補うために基本給的な性格で支給されている意味合いが非常に強いです。
セールスにインセンティブを手当として毎月払うようなケースも、変動の大きい基本給というイメージですね。
 
2つ目は、福利厚生的な意味合いのもの。
例えば、住宅手当、家族手当、自転車通勤手当・・。こういった手当は、従業員の生活を保証する福利厚生的な意味合いが強いです。
(より厳密にいうと、給料の決め方に能力給とかの他に「生活給」って考え方があって、それに基づくものだったりします。が、まぁ大雑把に福利厚生でいったんいいと思います。ベンチャーでよく見る「近距離限定の住宅手当」と大企業の「住宅手当」はちょっと意味合い違うし。)
こういった手当は、一定の人事政策的な意味合い(例えば、長く努めてほしい、健康に過ごしてほしい、、、)を受けて設定されることが多いです。
 
3つ目は、必要経費の建て替え的性質のもの。
通勤手当、交通費ですね。会社命令で単身赴任させる時の住宅手当などもこの意味合いが強いと思います。
 

その他の報酬制度

ストックオプション、退職金、企業年金、従業員割引など
これらは、会社によって有無が激しい。
福利厚生的意味合いのものもあれば、労働力の前借り的な意味合いを持つものもある。
この辺は、一つ一つの施策の意味を読み解くことが大切ですね。
 

重要な「比率」の話

そして、冒頭述べたとおり、多くの給与制度は上記のいろいろな仕組みの組み合わせです。
実際自分の給与明細を見てみれば、以上の「組み合わせ」で給与が決まっているということがわかると思います。
そして、押さえておきたいポイントはその会社における「比率」です。
 
例えば、私がコンサル会社にいた時は、その年にあげた成果(売上)によって数百万円単位で年収(ボーナス)が変動する世界で生きていました。「個人成果と連動する賞与の比率が極めて高い」賃金制度だったわけです。
等級制度は役割等級ベースではあったのですが、自分のグレードの売上ノルマをクリアしないと次のグレードにチャレンジさえさせてもらえませんでした。
プロフェッショナルファームとして、結果責任的・成果主義の考え方が徹底されており、給料あげたいと思ったら成果上げることが全てだったわけです。
 
他方で、事業会社に移ってからは能力等級や役割等級の中で生きています。そして、「成果連動型の報酬はなかったり、あっても比率がすごく少ない世界」の中で生きています。
能力を測るにあたって、その人が出している成果を見ることは見るのですが、
特にマネージャーにあげる時などは「マネジメントできる能力があるか」というところを結構シビアに見ることが多いです。そうなると、単純に個人として成果を出していれば給料を上がるという構造でもなくなってくる。
 
こういったわけで、自分の会社が以上の考え方をどういう比率でミックスした賃金制度にしているかを見るのはとても大切だと思うのです。
 

まとめ

以上の通り、賃金制度・給与制度について簡単にまとめました。
つまり、以下の4つに分けるとわかりやすいんじゃないかな、という話。
  • 基本給と残業代
  • 賞与
  • 手当
  • その他
 
加えて、以上をどういう比率でミックスしているかが重要だという話。
 
そして、以上の話で概ね理解いただけたと思うのですが、等級制度・評価制度が前提となっているので、それらとセットで全体像を持って理解することが特に重要です。
 
以下の記事も参考になれば幸いです。