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KPI・目標は、敢えて重複させる :あまり語られないコツ・ポイント

ビジネスをしていると避けられない業務の一つに、KPI・目標設計があります。
特に、マネージャー以上のレイヤーになると、組織・個人のKPIや目標を設計が業務の多くを占めるなんてこともあります。
 
KPI・目標設計にあたって、
コンサル時代は知らなくて、事業会社に来て学んだTIPSの一つが「敢えて重複させる」です。
 

一般的なKPI設計の説明

そもそも、一般的にKPI設計は以下のようなツリー構造で説明されることが多いです。

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KPIのツリー構造
そして、組織や個人のKPI・目標設定は以下のように割り振られるイメージ。

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ツリー構造下での一般的な分担
 
すなわち
  • 目標・KPIは上位目標・KGIから論理的に展開された、MECEなツリー構造で設計される
  • そのツリー構造に対して、これまた抜け漏れ・重複なく個人・組織の責任範囲が割り振られる
  • これにより、組織成果が最大化される
というのが一般的な説明な気がします。
 

ところが実務はそうはいかない。

しかし、実務はそうは行きません。
 
なぜなら
  • 戦略が変わって、KPI自体が変わる
  • そもそも最初に考え漏れてたKPIがある
  • KPIを伝える過程で解釈が生じて、元の戦略通り運用されない
  • KPI同士が二律背反になってしまって、部署同士が協力せず組織成果が最大化されない(例えば、リードの最大化をしたいマーケチームが雑なリードを取りまくって、セールスが受注できない)
といった現象が現実世界では起きるからです。
 
結果として、抜け漏れやポテンヒットが生じがちです。

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実際は戦略変更や考え漏れ、解釈でポテンヒット・お見合いが発生する
ポテンヒットがあると、上位目標が達成されません。
 

そこで「敢えて重複させる」

そこで、事業会社に来てから学んだ目標・KPI設計上のTIPSが「敢えて重複させる」です。
 
上述の通りKPIが変わったり考え漏れがあると、結果としてポテンヒットが生まれたりします。
だったら、綺麗じゃないけど被らせちゃった方が、ポテンヒットは防げるしチーム間の協力も生まれやすい。

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漏れるくらいだったら、重複を許容して成果や協力を引き出す
あるいは、上位目標のレベルで重複させる

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上位目標で重複させれば、ポテンヒットを拾う動きが生まれる
この「上位目標のレベルで重複させる」設計は、自分だけで達成できない成果にも責任を持たせることになりますが、そこへのコミットが引き出せるなら結構うまくいくケースが多い気がします。
 
 

「敢えて重複させる」は、実務では意外と定石

「敢えて重複させる」という目標設計のTIPS、実務上はよく使われている気がするのですが、
教科書的な説明だとあまり触れられない気がして、まとめてみました。
 
当然、目標・KPIは綺麗に設計できた方が気持ちいいし、重複させることはデメリットもあります。
しかし、お見合いが発生したりしてしまうよりはマシ、ということで実務上のTIPSとしては結構役立つものなのではないかと思います。
 

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