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入門 │具体例 クリティカルシンキングがわかった気になる 具体的な思考パターン

クリティカルシンキングとは

クリティカルシンキングは、直訳すると「批判的思考」です。
乱暴に意訳すると、「自分(や他者)の思考について、『本当かしら』と疑いながら、より正しい解にたどり着こうとする思考・姿勢」という感じでしょうか。
 
ちなみに教科書では、以下のように定義されています。
「Critical (クリティカル)」という言葉の本来の意味は「懐疑的な」「批判的な」ということであり、したがってクリティカル・シンキングをそのまま訳すと「批判的な思考」となる。日本でも何冊かクリティカル・シンキングに関する書籍が出版されているが、これらの書籍ではクリティカル・シンキングを「健全な批判精神を持った客観的な思考」といったような意味合いで用いている場合が多い。認知心理学の研究者が中心となって心理学的な側面からまとめたものや、「思考の罠」(陥りやすい間違い)についてまとめたものなどがある。
 
本書における「クリティカル・シンキング」は、上記の「健全な批判精神を持った客観的な思考」という意味合いは維持しながらも、心理学の領域に深く立ち入るのではなく、「ビジネスパーソンが仕事を進めていくうえで役立つ」という観点にフォーカスしている。具体的には、論理思考の方法論(テクニックやフレームワーク等)と正しく思考するための姿勢(心構え)を組み合わせることにより、ビジネスにおいて「物事を正しい方法で正しいレベルまで考える」ことを実現しようとしている。
 
・・・難しい(笑) 
 
クリティカルシンキングは、ロジカルシンキングとセットで
ビジネス上の問題解決思考に必須のスキルだと思うのですが、
この定義・イメージの難しさから、ロジカルシンキングより触れられる機会が圧倒的に少ない気がします。 
 
他方で、ビジネス実務だと
「よくあるクリティカルシンキングのパターン」が確かに存在していて、難しい定義・理屈の前に
「よくある具体パターン」から先に入ってしまうことが短期的には役立つと思いますし、
例題ないし具体例を先に理解することで難しい理屈も理解しやすくなる気がしています。
 
そこで、以下では(細かい説明はちゃんとした本を見ていただくとして)「ああ、そういうことね」と、なんとなくのイメージを持ってもらうことを目的として、クリティカルシンキングの例題というか具体的な思考パターンを紹介して行きます。
 
さらーっと読んで「わかった気になる」くらいをゴールにしたコンテンツです。
 
(定番の教科書はこちらです) 

基本的なパターン

「●●さんだったらなんて言う?」を想像する

クリティカルシンキングは、自身の考えを否定するという側面を含みます。
そこで、誰かを「仮想敵」にして、その人が「本気で自分の主張を潰しにきたらなんて言うか?」を想像するのは結構有効です。
 
例えば、「稟議書作成するときに、上司にどんな文句を言われそうか想像する」というのは、ある種のクリティカルシンキングだと思います。
 

他人のアタマを借りる

「仮想敵」を自分で描けないときは、他人と2人以上でやるのも有効です。例えば
  • 「どういう反論が来そうか考えてるんだけど?」
  • 「〜〜って考えてるんだけど、他に考え方ない?」
といった問いは、クリティカルシンキングを促進すると思います。 
 

より具体的な発想のパターン :ロジックツリーをベースに

より具体的なパターンとして、ロジカルシンキングの王道であるロジックツリーをベースにした思考パターンを紹介します。

そもそも解くべき問題間違えてない?

クリティカルシンキングの超王道です。ロジックツリーで言ったら、一番上に置いてるものを疑う。
「『マニュアル化されてないこと』を問題にしてるけど、なんでマニュアル化が必要なの?」「セールスプロセスを問題にしてるけど、そもそも今解決すべきはプロダクトの話なんじゃないの?」みたいな。
 

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最上位を疑う
「それは流石にない」と思われるかもしれませんが、意外とこういう間違えを犯してしまうことあると思います。
 

それ事実?

ロジックツリーの要素が事実か疑うやり方です。これも結構ある。

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それ事実?
 

他にないか?

自分のロジックツリーに「漏れがないか」を探るやり方です。
例えば、売上減少の理由を「値段」「商品品質」「プロモーション」で考えているけど、「流通経路」とか他にないんだっけ?みたいな。

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他にないか?

 
 
世の中のフレームワークを調べたり、ロジックツリーをAとA以外で分解してみたり、とかやると、この検証ができます。
 

ホントに繋がってる?

「それホントに繋がってる?」もよくあります。
ロジックツリーで行くと、ボックスをつなげる線を否定しに行くイメージ。
 

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それホントに繋がってる?

他の切り口の方が良くない?

ロジックはMECEだし繋がってるけど、「切り口がイマイチ」ってケースもあります。
例えば、売上を地域別に切って説明していてそりゃ確かにMECEなんだけど、
実は「商品別」で見た方が売上低下の原因がよく分かる、みたいなケース。

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他の切り口の方が良くない?


 
これも、世の中のフレームワークや分析事例を調べると結構他の切り口が浮かんできます。
 

その他のパターン

隠れた前提があるんじゃない?

これも超王道で「隠れた前提あるんじゃない?」と疑うケース。

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隠れた前提があるんじゃない?

例えば、営業マンがめっちゃ忙しい状況下で
「営業成績が落ちている中で、受注率を上げることが重要です!」って言われるとそれっぽい。
でもこれは「(営業マンが忙しいから)商談数が増やせない」という前提が、なんとなく組織内に通っているからだと思います。
さらに言うと「この商材は訪問じゃないと売れない」という前提もあったら、なおさら正しそうに見える。
 
でも例えば、
  • 電話営業で移動を減らせれば、商談数は増える
  • 実は似た商材で、電話営業している会社がある
みたいな話があるとすると、結論が変わってくる可能性あると思います。
 

因果逆なんじゃない?

データ扱うケースでよくある話です。
 

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因果逆なんじゃない?
例えば「金持ちは高い財布を使ってる。金持ちになりたかったら、高い財布を使え。」的な言説。
確かに、「高い財布使う」→「気合い入る」→「仕事で成果」→「金持ち」みたいな因果かもしれません。
でも、シンプルに「お金持ちでお金あるから高い財布使ってるんじゃないですかね?」と言う話。
 

違う因果ルートがあるんじゃない?

これもデータ扱うケースでよくある話です。
 
例えば、「日経新聞を読んでいる学生は、他の新聞を読む学生に比べて一部上場企業に就職する確率が2倍高い」というデータがあったとします。
これを以て「一部上場企業に就職したいなら、日経新聞を読もう」と主張されると、ちょっと根拠ありそう。

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一見それっぽい因果


でも、もしかしたらこんな因果かもしれません。

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本当はこうかも


こうなってくると、「日経新聞読んだところであんまり意味ないかもなぁ」なんて気持ちになると思います。
 

サンプル偏ってるんじゃない?

 例えば、「営業マンのハイパフォーマーはみんなXXXをやっている」と、
このデータを以て言われたらなんか信じられる気がします。

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一見説得力がありそうなデータ


でも、他の支店も見ると全然違うかもしれません。

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「たまたま」もしくは「東京でしか通じない」ように見える

 
 

まとめとオススメ書籍

以上、「クリティカルシンキング」について、(MECEな整理・体系的な整理というより)実際使える具体的なイメージを描いてもらうことを目的に、例題というか具体的な発想の例を紹介しました。
 
↓なんとなくのイメージがついたら、この辺の本は良質なのでオススメです。
クリティカルシンキングと言ったらグロービス」ってくらい王道です。