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解説「文系AI人材になる」 :非エンジニアにおすすめの入門書

 
機械学習系のプロジェクトのビジネスサイドのプロマネを何回かやっているため、
非エンジニア・非データサイエンティストから、「AIについて、ちょっと勉強してみたい」という相談をちょくちょく受けます。
 
自分が実務の中で知識をつけてきたこともあり、何をオススメしたらいいんだろう?と悩んでいたのですが、最近は、「文系AI人材になる」という本をとりあえず読むことをお勧めすることにしています。
 
ただこの本、ちょっと読み方にコツがある気がしていまして、それとあわせてご紹介したいと思います。

 

[追記] なんてオススメしているうちに、いつの間にか「文系AI人材になる」が、Kindle unlimitedの対象になっていました!この内容を無料で読めるのはかなりおすすめです。Kindle unlimitedユーザーの方はもちろん、それ以外の方も多分トライアル期間ありで、スマホでもPCでも読めるので、これを機に↑のリンクからどうぞ!

 

「文系AI人材になる」とは

 
「文系AI人材になる」はzozo等でご自身も文系AI人材として活躍されている野口さんという方が書かれた本です。
 
目次的には、以下から構成されています。
第1章 AI社会で職を失わないために
第2章 文系のためのAIキャリア
第3章 STEP1 AIのキホンは丸暗記で済ます
第4章 STEP2 AIの作り方をザックリ理解する
第5章 STEP3 AI企画力を磨く
第6章 STEP4 AI事例をトコトン知る―業種別×活用タイプ別の45事例
第7章 文系AI人材が社会を変える

 

これを一通り読むことで、
  • AIってなんなの?
  • 文系の私は何ができるの?
  • 実際どんなプロジェクトがあるの?
が、ザクっと理解できます。
 

「文系AI人材になる」の読み方

ただこの本、ちょっと読み方にコツが要る気がしています。
個人的には、
  • 1章は、軽く読み飛ばす
  • 2~4章を読んで、内容を理解する
  • 5章は軽く読んで
  • 6章は興味あるところを中心に一通り
  • 7章は、興味あれば
という感じで、2-4章・6章を中心に読むという感じが良いと思っています。
以下、詳細に、章ごとにポイントとオススメの読み方を紹介していきます。
 

1章は軽く読み飛ばす

第1章は、「AI社会で職を失わないように」というタイトルです。AI時代におけるキャリアや「AIと人間の共働き」のスタイルについて語られています。
この内容は大切だし、本の構成上必要だと思います。ただ個人的には、この本にたどり着いて理解できる(そしてその後活用できる)レベルの人であれば、「既になんとなく知っていた」内容が多めな気がします。
なので、軽く読み飛ばす、でいいと思います。この後役たつ内容があるので、ここで詰まっていてはもったいない。
  

 

2~4章をちゃんと読んで理解する

AIについてこれから学習する方は、2~4章を特にちゃんと読んで理解するのが大切だと思います。
この2~4章の内容だけでも、この本は買う価値があると思います。
 
2章は、「文系のためのAIキャリア」という章です。
タイトルは「キャリア」ではあるのですが、その前提として、
  • AIの基本的な作り方/使い方
  • AIプロジェクトのプロジェクトマネジメント
  • AI人材になる
が紹介されているので、ちゃんと読んだ方がいいです。
 
3章は、「AIのキホンは丸暗記で済ます」です。この本で特に秀逸なのは、この章と次の4章ですね。
AI・機械学習を理解しようとすると、複雑な数学が出てきたりして、そこで挫折してしまう人が多いです。
その点、この本はそこを「丸暗記」と割り切ってテンポよく説明してくれます。
「丸暗記」とはいうものの、簡単に仕組みは説明してくれるので、言うほど暗記しろって感じでもありませんし、実務で役立つと思います。
 
触れているポイントも良い意味でスタンダードですし、説明の仕方もわかりやすいです。
 
より具体的には、3章「AIのキホンは丸暗記で済ます」を読むと、例えば以下のような事項が理解できます。
この辺わからないと、実務でデータサイエンティストとは会話できないので、とっても良い内容だと思います。
 
繰り返しですが、AIの学習でつまづくパターンの一つは、数式でつまづく→全体像が見えない→どこが重要かわからない→わからなくてもいい数式でつまづく..のループの途中で挫折するパターンだと思います。
その点、全体像をザクッと押さえられる本章は大変オススメです。
 
 
4章は、「AIの作り方をざっくり理解する」です。
本章もとても秀逸で、タイトル通り「AIの作り方」がざっくり理解できます。
2つくらいポイントがあって
  • データ前処理など、実務上結構問題になるポイントがちゃんと押さえられていること
  • 識別系/会話系/実行系 の分類ごとの作り方が解説されていること
という2点から、とても役立つ内容になっています。
これだけの内容を、これだけポイント押さえて文系にわかりやすく説明できるって本当にすごいなぁ、と感じました。 
 

5章は軽く読む

5章は、「AI企画力を磨く」です。
内容的には、AIを使った諸々の企画のフレームワークや考え方が紹介されています。
確かに、この能力(AIに関する企画力)は間違えなく必要です。紹介されているフレームワークそのものも、類書に比べて良心的かつキレイに整理されているように感じます。
ただし、現時点で「文系AI人材」としてプロマネ等の立場に立つ可能性がある人って、この章で語られる企画能力や思考力はどこかしらで既に磨いてるんですよね。だとすると、本書でそこまで熟読する必要はなくなる。別に読まなくても自分の頭の中に似たものがあるから。
もちろん、今後よりAIが一般的になってきて色々な人がAIプロジェクトに関わるようになってきたり(まさにこの本が想定しているのはそういう世界だと思います)、あるいは二十代前半とかで経験が足りない人は5章も読んだ方がいいと思いますが、
現時点で一定経験がある人は「なるほど、この人はこういうフレームで考えているのね」と、本書を読み進めるのに最低限必要な程度の斜め読みでいいかな、というのが個人の見解です。
 

6章は、興味あるところを中心に一通り

6章は、実際の事例集です。
これは人によって結構参考になるので、興味あるところは読んでみてもいいと思います。
この章の魅力は、たくさん事例が載っているところです。事例が多いので、何かしら興味を持てる事例が載っていると思います。
ただし、そこまで詳しく書かれているわけではないので、何かしら自分で追加リサーチするとより学習効果が出るかもしれません。
(むしろ、基礎から押さえてる本でこれだけ網羅的に事例も載せられるのすごいと思っています)
 
 

7章は、興味あれば

7章は、「文系AI人材が社会を変える」です。
この章も面白いは面白いのですが、自分のキャリアについて考えたい人が読めばいいかなって感じはします。
 
ちなみに、本来本書自体のフレームワークとしては、文系人材になるためには
  1. AIのキホンを丸暗記する(3章)
  2. AIの作り方をザックリ理解する(4章)
  3. AI企画力を磨く(5章)
  4. AI事例をトコトン知る(6章)
というステップが必要である、という構成です。
ただ、上述の通り5章の「AI企画力」のところが、現在この本を手に取る読者の感じからするとちょっと既知な感じがするので、上記のような読み方をお勧めしている次第です。
 
 

非エンジニアがAIを勉強するのにオススメの入門書

「文系AI人材になる」、現時点で類書があまりない良書だと思っています。わかりやすい。
 
感覚としては、むかし自分が数ヶ月かけて身につけた基礎知識を、数時間で習得できるんじゃないかと思うくらいです。
  • なんとなくAIが気になる
  • AIのプロジェクトにアサインされたけど、なんか手触り感がない
  • AIのプロジェクト普通に進められるけど、ビジネスサイドの人に説明するのが面倒
みたいな方は、一読の価値があるんじゃないかと思います。