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人事評価のtips :A評価には、B評価じゃない理由を書く

3-4月は人事評価シーズンです。
人事評価の運用スキルは、幸せな会社員人生を送る上でとても大切なスキルだと思うのですが、(人事の方の努力にもかかわらず)結構個人差が激しいです。評価する側・される側ともに。
ベンチャー界隈にいるとなおさら差が激しいです。
 
昔コンサルで人事制度作ったりもしていたのですが、当時学んだ中でも特に即効性のあるオススメのTIPSが
「A評価をするためには、B評価じゃない理由を書く」です。
 

そもそも評価制度は抽象度が高い

そもそも、評価制度運用が難しい理由の一つは、抽象度が高いからです。
すなわち、色々な仕事をしている人を評価するために等級や目標は
  • 〇〇を高い自律性を持って実施できる
  • 〇〇を適切に実施できる
みたいな感じで、抽象度高い形で定義されています。
 
目標設定の考え方としてはSMARTなどが知られますが、全ての目標を完全に具体的かつ定量的な目標することはできません。 抽象度が残ります。
 
抽象的ということは、具体の事象に適用すると解釈の余地が残るということです。
この解釈を揃えるのが大変なので、評価する側/される側両方の納得感がある評価を決めるのが難しい。ということかと思います。
 

A評価には、B評価じゃない理由を書く

で、色々な方法でこのギャップを埋めに行くわけですが、個人的に比較的広い層に対して即効性が高いTIPSが「A評価には、B評価じゃない理由を書く」だと思っています。
 
だいたい、人事評価はS-A-B-Cみたいな段階を踏むことが多いです。で、例えば
 S:期待を大きく上回る
 A:期待通り
 B:期待を下回る
 C:期待を大きく下回る
みたいな定義がされるかと思います。
 
で、ダメな評価の仕方の例は「とてもよくできました。なのでA。」というやつ。
「とてもよくできたならSにしてよ」に反論できない。
 
そうじゃなくて、↓みたいな感じで書けば、ちょっとマシになります。
  • そもそも〜〜〜という期待をしていた。
  • これに対して、〜〜〜というアウトプットを出してくれた。
  • これは期待水準を超えているのでB(「B:期待を下回る」)ではない。
  • 他方で、当初期待の〜〜以外にアウトプット項目もないので「S:期待を大きく上回る」とも言えない
 つまり、「Aである理由」を直接説得しに行くんじゃなくて、「Bじゃない理由」と「Sじゃない理由」ことで、A評価であることを説明する。
もちろん、これも「マシ」というレベルで、人事の専門家に言わせたら色々ツッコミどころがあると思います。
ただ、一度これをやると「じゃあどんなだったらSなんだろう/Bなんだろう?」というのを、評価する側・される側ともに想像させる、考えるきっかけができるというのがとてもいいと思っています。
 
そうすると、ちょっと意欲的な評価者・被評価者は、次から(評価のタイミングではなく)目標設定の時点で、事前に
  • もしこれくらいのアウトプットだったらAだね
  • ここまでやってくれたらSをつけられると思う/Sが欲しい
  • 逆にこれくらいだったらBでも仕方ないね
みたいなコミュニケーションができるようになることが多い。
こうなったら、難しい理論とか知らなくても、評価のコミュニケーションの不満の半分以上は解決したようなもんです。

そんなわけで、目標設定・評価は色々な理論・方法がありますが、その中でも「A評価には、B評価じゃない理由を書く」は、当座の評価に納得感を持たせることに加えて、評価する/されるスキルを上げるという意味も含めて、結構オススメなtipsだと思います。
 

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