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コンサル→ベンチャー。ビジネス系のネタ。

議事録は、会議の前に完成させる 〜「早く書く」を超えて本当に生産性を上げる議事録のコツ

 
コンサル会社に勤めていた頃、
「議事録を会議の前に完成させる」
ということを日常的にやってました。
 
題して「仮説議事録」。
 
やってみるとわかるのですが、
これは、いろいろな思考法とプロマネのミソが詰まっている、とても素晴らしいトレーニングだと思うのです。
 

「議事録なんて、会議の前に書いとけよ」

業種・会社によると思いますが、
会議の議事録は、意外と新人がよくやる仕事の上位にランクインする気がします。
 
でも、新人が早く正確に議事録を書くのは難しい。
先輩「とりあえず議事録取っといて!」
新人「はい!」
↓ 会議後
先輩「議事録早く出してね。」
新人「はい!」
↓ 3時間後
新人「できました!」
先輩「え、3時間かけてこれ?お前そもそもさ・・」 
みたいな。
 
ここで、私がいた会社では、たまに気の利いた先輩が続けるのです。
「そもそもさ、会議終わってから議事録書くから、遅くなるんだよ。会議始まる前に議事録なんて書いておけよ。見てやるから。明日からな。」
と。
 
ただ、先輩もそんなに丁寧には説明してくれないので、何言ってるのかよくわからない。
でも、怒られるのが嫌だから、やってみる。
 
そのうちに、これは議事録なんて「作業」に留まらない、ふかーい教えだということが分かってくるのです。
 

最大のメリット:「仮説思考」が身につく

どんな議事録でも「決定事項」は、書くはずです。
 
会議もしていない段階で「決定事項」を文章で書くには、最低限
についてスタンスを決めなくてはいけません。
 
「会議の目的、アジェンダ、結論?そんなのわかってるよ!」という新人も多いと思います。実際私も新人の頃は、「理解した気」になっていました。
しかし、「議事録」というアウトプットで強制的に文章化することで、自分の理解の浅さに気づきます。そして、何が論点なのかを再度考えるようになり、論点に対して具体的な結論を仮で迫られることになります。
これはまさに「イシューに対して仮でスタンスを決める」という仮説思考の基本を、
強制的に身につけさせる「型」だと思うのです。
 
逆に、ここでアジェンダだけ並べて「スタンス」決めるところまでやらないと、
「仮説議事録」は、ただの作業効率化で終わります。
つまり
 ×「〜〜について」
 ◯「 〜〜は、やらないこととする。」
と結論まで文章で書くのがポイント。
 

いろいろな能力を磨くきっかけになる

さらに、仮説で決定事項が書けるようになってくると、
  • ここが肝だな(論点思考)
  • こんな反論が出るかも(クリティカルシンキング
  • だからこの人が参加するんだな / 逆にこの人に根回しなくていいのかな(根回し思考?)
  • 俺がやってるこの論点、説得する根拠が弱いな(論理思考)
  • てか、資料の頭に「本日は3つ承認いただきたいです」ってサマリ書いたらよくね?(プレゼン技術)
 
あたりのうち、ひとつくらいは、思い至るものです。
そこから先、どこまでやり切るかは結構個人差あるけど。
 
ちなみに、さらに、決定事項を超えて議論の過程まで、正確に予測しようとすると、背景にあるイシューや組織構造など、様々なことを立体的に理解する必要があります。
これは相当難易度が高いです。(本当は、決定事項を正確に予測するのにも、こういう立体的な思考が必要なのですが)
 

議事録なら、極めて具体的で、検証できる

とはいえ仮説思考しかり、この辺のスキルについて、世の中にものの本はあふれています。 
 
それらに対して、
手段としての「議事録」が優れているポイントは3つあります。
 

1つ目は、「極めて具体的」であること。

例えば「どういう反論が来そうか(クリティカルシンキング)」でいえば、
具体的な「あの会議」を前提にすれば、「あの人がこんなこと言いそう」と、
新人でも、想像が容易になります。
 

2つ目は、「文章に書く」こと

忘れられがちなのですが、仮説思考とか以前に「文章をきちんと書く」というトレーニングはとても重要です。
プレゼンの仕方とか、スライドの作り方とか、仮説思考とか以前に「文章をきちんとアウトプットする」。これ、「うるせーな」と感じること正直多いのですが、超重要。
議事録は当然文章なので、このトレーニングになります。(きちんと書ける人には関係ないけど)
 

3つ目は、「絶対短期で検証する」ということ。

「答え合わせ」と言った方が感覚近いですが。
業務として議事録配信するために、会議の後に、自分の「仮説議事録」を修正するわけです。
「なんとなく」ではなく、実際のアウトプットに修正を加えることで、「なんで間違えたんだろう」を考える。
これを会議の度にやれば、当然学びは多くなるのです。
 
(仮説外さなければ、会議終了5分後にそこそこのクオリティで議事録配信できるので「お、新人優秀だね」ってなる。それはそれでおいしい)
 
 
 

難しい勉強より、10分で始められる仮説議事録

素敵なプロマネ手法とか思考法が、世の中に溢れていると思います。
 
ただ、慣れてる人じゃないと使いにくいものも多い気がするんですよね。
かと言って、一つ一つ本格的に勉強します?って話です。
 
そんな中で、「会議の前に議事録を完成させる」トレーニングとしてもハックとしてもオススメだと思うです。
10分でできるから。