B-log

コンサル→ベンチャー。ビジネス系のネタ。

【解説】"HIGH OUTPUT MANAGEMENT"をマネージャー・課長の教科書1冊目としてお勧めする理由[ハイアウトプットマネジメント]

HIGH OUTPUT MANAGEMENT(ハイアウトプット マネジメント) 人を育て、成果を最大にするマネジメント

ビジネスパーソンは、役割がメンバーからマネージャー・課長に変わった瞬間に、求められる能力や立ち振る舞いが質的に変化します。
当然悩む人や行き詰まる人は多く、管理職の教科書的な本は世の中にたくさんあるのですが、個人的にはその中でも「HIGH OUTPUT MANAGEMENT」を一番オススメしています。
 
ただこの本、人によって読みづらいと捉えられることもあるようで、
以下に本書の基本的な主張を要約しながら、この本の構造・オススメポイントを紹介したいと思います。
 

HIGH OUTPUT MANAGEMENTとは?

HIGH OUTPUT MANAGEMENTは、インテル元社長アンドリュー・グローブ氏が、1983年に書いたマネジメントに関する本です。
今から40年近く前の本ですが、十分今でも学べる本です。
 

最大のオススメポイントは、マネージャーの仕事の本質の定義

 
この本の最大のオススメポイントは、マネージャー業務の本質を突くこの数式です。
 

f:id:f-bun:20200430112449p:plain

マネージャーのアウトプットとは
 
HIGH OUTPUT MANAGEMENTは、この数式をベースに全てが書かれています。
 
ここで、この本のポイントとなるアイデアは3つあります。
  • マネージャーの仕事を、アウトプット志向で考える
  • チームとしてのアウトプット生産性を最大化するために、最もてこ作用の高いタスクを選び取る
  • チームは、メンバー個人のパフォーマンスが発揮された時に最もよく機能し、アウトプットを高める
 以下、順に解説していきます。
 

●マネージャーの仕事を、アウトプット志向で考える

他の管理職の教科書的な本でも、「管理職としての振る舞い」とか「管理職として必要なスキル」みたいなことは書かれています。
でも、本によって「褒めろ」って書いてあったり「叱れ」って書いてあったり。笑
しかし、態度でもタスクでもスキルでもなく、シンプルにアウトプット志向というアイデアを根本に据えることが本書の特徴です。書名も「High Output Management」ですもんね。
 ※正確には、自分の組織のアウトプットだけでなく、「自分の影響力が及ぶ隣接組織のアウトプット」までもマネージャーのアウトプットと定義するところもポイントです。実際、上がっていくマネージャーって周辺組織にも影響を及ぼしながら成果出して出世していきますよね。
 

●チームとしてのアウトプット生産性を最大化するために、最も「てこ作用」の高いタスクを選び取る

マネージャーの仕事は、無限にあります。
私の1日が終わるのは、疲れて帰宅する時であり、仕事が終わった時ではない。私の仕事は決して終わらない。

 という本書の一節は、マネージャーの日常を適切に言い表していて笑えました。

「決して終わらない」仕事を抱えるマネージャーが
「自分の組織のアウトプット + 自分の影響力が及ぶ隣接組織のアウトプット」を最大化するためには、どうしてもレバレッジが効く活動に自分の時間を投入する必要があるというわけです。
 

●チームは、メンバー個人のパフォーマンスが発揮された時に最もよく機能する

そして、「自分の組織のアウトプット + 自分の影響力が及ぶ隣接組織のアウトプット」は個人のアウトプットの集合体ですから、個々人のパフォーマンスが最高であれば最高水準になるはず、という話です。
HIGH OUTPUT MANAGEMENT

HIGH OUTPUT MANAGEMENT

 

 

目次に照らして、HIGH OUTPUT MANAGEMENTの構造を解説

この本、アメリカの本にありがちなちょっとわかりづらいところもあるのですけど、シンプルにいうと示しているコンセプトは↑に書いた3つ、すなわち
  • マネージャーの仕事を、アウトプット志向で考える
  • チームとしてのアウトプット生産性を最大化するために、最もてこ作用の高いタスクを選び取る
  • チームは、メンバー個人のパフォーマンスが発揮された時に最もよく機能し、アウトプットを高める
だけです。
 
で、目次との関係でこれを整理すると以下の通りです。
「第1部 朝食工場」は、前提となる生産性の概念や原理原則を伝えています。
「第2部 マネジメントはチーム・ゲームである」で、マネージャーのアウトプットの定義とマネジメントにおけるテコ作用の重要さ、テコ作用を最大化させるための方法論が並んでいます。
「第3部 チームの中のチーム」は、そもそもの「チームとは」というか組織図の設計方法について述べられています。
「第4部 選手たち」は、個人のパフォーマンスを最大化する方法が書かれています。
 
という感じになります。何となくイメージつきますでしょうか?
(正直、ミドルマネージャーなりたての人が読むんだったら、3部は読み飛ばしてもいい気がします。)
 

まとめ

管理職のマネジメントに関する良書はたくさんあります。
でも、色々ありすぎて、正直混乱します。
そんな時、
マネージャーのアウトプット = 自分の組織のアウトプット + 自分の影響力が及ぶ隣接組織のアウトプット

という本書が示した数式は、色々な情報を読み解くにあたっての起点になるはずです。その一点をもって、この本は非常にお勧めです。(色々他にもいいところあるのですが、私は何よりこの数式が根本の原則として貫かれているところが本書の魅力だと思っています。)

そもそも、40年も生き残るような本は、大体良書に決まってます。
マネージャーになりたい方、マネージャーなりたての方は一度読んでみて損はないと思います。

  

HIGH OUTPUT MANAGEMENT

HIGH OUTPUT MANAGEMENT