昨年くらいから、カスタマーサクセス界隈では「コミュニティタッチ」が取り上げられることが増えてきた気がします。
ハイタッチ / ロータッチ / テックタッチ に連なる第四のタッチモデルで、
ユーザー同士をコミュニティとして結びつけながらロイヤルティを上げていく手法です。
コミュニティ・タッチツールのベンダーさんもいますし、
最新の方法論は色々なところで語られています。
が、実は日本には50年の歴史を持つユーザー・コミュニティの大成功事例があることは、あまり語られる機会がない気がします。
それは「TKC全国会」です。
<目次>
TKC全国会って?
TKCグループHP には、以下の記載があります。
実は、税理士向けシステムベンダーの"株式会社TKC"が設立した団体です。
TKCという会社は面白くて、
会社HPには
とあります。
栃木計算センター・・・?
その後、自治体からの税務計算業務受託や伝票の開発などを経て、
税理士向けシステム提供などの業務も開始し
1971年に「TKC全国会」が結成されます。今からなんと50年前の話!
TKCグループのホームページには
ここでポイントは
-
元々は、税理士が始めた「計算センター」であること
-
そこに、税理士をクライアントとした様々な事業が付加されていったこと
だと思います。
「TKC全国会」を聞いたことがあったり、あのロゴを見たことがあっても、
それが栃木の情報システム会社によって設立・運営されているコミュニティだということは知らず「経営支援をする税理士の集まり」くらいに思っていた人もいるのではないのではないでしょうか?
TKC全国会は何をしているのか
TKC全国会のHPを見てみると、
TKC全国会に加入することで、以下のような課題に対するソリューションを受けることができると記載されています。
付加価値の高いサービスを提供したい 中堅・大企業市場を開拓したい 事務所内の業務を標準化したい 会計事務所のノウハウを教わりたい 金融機関との連携を強化したい 今後成長が見込める分野や業界に精通したい 税務・会計の最新情報を入手したい 新規開業の準備したい
各ソリューションの詳細ページを見てみると、それぞれの課題について、良い意味でシステマチックに体系化されたソリューションが用意されているように見えます。(当然、そのソリューション群は株式会社TKCが提供するシステムと密接に連携します)
システムの使い方にとどまらず、
まさに「税理士事務所経営の成功」という顧客の成功にコミットしている団体なのです。
想像ですが、TKC全国会は上記のようなソリューションに加えて人脈などの価値も加わり
「もはやコミュニティ自体がプロダクトの一部」のような状態が出来上がっているのではないかと思います。
さらに
"プロダクト・フィードバック・ループ"なんて横文字がない時代から、
ユーザー中心の意思決定を前面に出し、それを実際に可能にする仕組みを持つ会社が、日本の栃木県にあったのです。
本当に研究の価値ある事例
コミュニティタッチは、効率的な運営が難しいので、ツールは確かに重要です。
が、コミュニティそのものの在り方の先行事例として、「TKC全国会」は大変参考になると思うのです。
もちろん、時代背景が違うのでそのまま転用は難しいかもしれません。
でも、50年やり続けている事例なので重みが違う。
実際、HPを見ているだけでも「ウチの事業でもこういうコンテンツ提供したら顧客が喜んでくれそう」というアイデアが湧いてきます。
これらをやりきれたのは、創業者自身がユーザーと同じ公認会計士・税理士出身のカリスマであるなどの事情もあるかと思いますが、それにしても50年前に栃木の会社でこれに着目してやり続けるのはホントすごい。
1本論文書けるくらいの研究価値ある事例だと思います。
参考図書
TKC創業者の故・飯塚毅氏は、事務所に国税の税務調査が入って所長以外の4名の職員が法人税法違反教唆の容疑で逮捕起訴→のちに無罪確定など、色々ドラマチックな人生を送られたようです。その辺を経済小説家の高杉良がまとめた小説。
その創設者の仲山さんの本です。
楽天大学は最初から有料のコミュニティとしてスタートした(その方がコンテンツが磨かれるという三木谷さんの考えだったらしい)などの特徴を持ちます。
楽天大学がどういう軌跡を辿っているかは、これからコミュニティをやる方に示唆を与えてくれると思います。↑の本は楽天大学の運営そのものについて書かれたものではありませんが、楽天大学を設立して軌道に乗せたコミュニティマネージャーが何を考えていたかが理解できる本です。
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