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経営企画という仕事の4つの役割

経営企画とか事業企画とか、それに近しい仕事を生業としているわけですが、
意外と、経営企画の仕事とか役割というのを他の人に説明するのは難しいです。
 
中の人からすると、経営企画という仕事には、実際以下の4つの役割があるんじゃないかなぁ、なんて思ったりします。
  1. 戦略・計画を立てる
  2. 戦略・計画の進捗を管理する
  3. 戦略・計画実現のための課題を優先付けし、ボトルネックを潰しに行く
  4. 事業運営に必要だけど誰も拾わないボールを拾う
 

経営企画という仕事の4つの役割

1.戦略・計画を立てる

一般的な経営企画・事業企画のイメージはこれだと思います。
 
会社レベルや事業レベルの戦略というのは、元々は社長ないし事業部長といったトップが立てるものですが、
組織が大きくなってくると、だんだんトップの手が回らなくなってきます。
一人でやろうとすると、時間が足りなかったりして精度が落ちてくる。
 
そこで、現状を分析し、計画を立案するために作られたのが経営企画です。
 

2.戦略・計画の進捗を管理する

戦略・計画を立てたら、進捗を管理しなくてはなりません。
「管理」というと堅苦しいですが、
例えば、進捗管理表を作ったり、報告のフォーマットを作ったり。
 
そういった進捗管理PDCAの仕組みを整えることで、計画を絵に描いた餅から現実へとつなげていく。
こういった機能を担う経営企画も多いはずです。
 
経営会議みたいなのを事務局で仕切っているのが経営企画ってことも多いですね。
経営企画は、戦略・計画の進捗を管理する。
 

3.戦略・計画実現のための課題を優先付けし、ボトルネックを潰しに行く

世の中的にあまり語られていないですが、結構重要な経営企画の役割として、
「戦略・計画実現に向けた課題を優先順位づけし、場合によってボトルネックを自ら潰しに行く
というのがあると思います。
 
例えば、
  • 戦略として新規事業の立ち上げが重要課題だけど、今事業部に実際やれる人間がいない
  • 戦略的に、人事制度再構築を課題としているが人事だけではなく事業部の観点を入れるプロマネが必要
  • V字回復のために、大胆なコストカットが必要
  • 社運をかけてM&Aをした子会社との一体的なマネジメントの確立
みたいな局面で、一番重要な課題に経営企画のメンバーやマネージャーが自らを投じて戦略を実現しに行く経営企画って、結構多い気がしています。
 
「戦略的重要課題を扱う」という意味では花形なのですが、
要は一番の死地に赴くので、実際の現場としてはとーっても辛くて泥臭いことが多いです。
 
しかも、経営企画のメンバー自身に経験があったりする領域が戦略的重要課題とは限らないので、苦戦することもしばしばです。
 
ただ、ハードな局面ゆえに、突破した時の高揚感は半端なく、
コンサルではなく事業会社の中で経営企画をやる醍醐味って実はここにあるんじゃないかな、と思います。
 
 

4.事業運営に必要だけど誰も拾わないボールを拾う

最後は、「事業運営に必要だけど誰も拾わないボールを拾う」です。
 
厳密には、3.の「戦略・計画に照らして一番のボトルネックを自ら潰しに行く」の一種とも言えますが
ちょっと戦略課題とは呼びにくいタイプの業務も経営企画には存在する気がするので、別立てにしました。
 
より具体的には2種類あって
  • 一時的に発生するアレコレ ←これは3.に限りなく近い
    • 外には言えないようなトラブル処理
    • 会社の存亡に関わるトラブル対応
    • 商号変更、上場
  • 専門部署がある会社もあるけど、ウチの会社にはないからやってるアレコレ
    • IR・PR
    • 財務
    • 全社会議の運営
とか。
こういうのも、事業会社の経営企画の業務として存在すると思います。
 
 

経営企画が生まれるとき

 
経営企画と呼ばれる組織の役割については、この本(↓)が本当に秀逸です。 
戦略参謀の仕事――プロフェッショナル人材になる79のアドバイス

戦略参謀の仕事――プロフェッショナル人材になる79のアドバイス

 

 この本(↑)の中で解説されているのですが、

経営企画の役割は「経営企画がなぜ生まれるか」という経緯に照らして考えるとわかりやすい。

  • 創業直後は、創業者が全てを一人でやる
  • 事業規模が大きくなり始めると、比較定義しやすい以下のような仕事が分業され始める
    • 営業や仕入れのような、体を動かす仕事
    • 経理のような、手を動かす仕事
  • さらに事業が大きくなってくると、頭を使う「企画」「管理」と呼ばれる業務が分業され始める
  • (以上の段階では全社レベルでの課題の優先順位づけや計画自体は創業者がやっているのですが)さらに組織が大きくなってくると、全社レベルでの課題の優先順位づけについても社長一人でやるには24時間では足りなくなる/精度が下がってくる。
    • そこで生まれるのが経営企画
という話です。
 
要は、経営企画というのは、常に「創業社長」の目線で物事を考えなくてはならない。
創業社長って事業が大きくなる過程で本当に色々なことをやって来ていると思うんですよね。
自分で営業もしたと思うし、トラブル対応も、資金調達も、戦略も・・・。
創業社長は、事業の当事者に他ならないので目的達成のためならなんでもやるのです。
 
経営企画が参謀たり得るには、ロジカルシンキングとか経営の知識とかも必要だとは思うのですが
どうせ(コンサルではなく)事業会社で経営企画をやるなら、社長と限りなく同じ目線・オーナーシップを持って
「火中の栗を拾いに行く」(上記の本の帯に書いてある言葉です)気持ちで
経営課題に取り組む姿勢こそが必要なんじゃないかなぁ、なんて思う次第です。
 
そんなわけで、事業会社で経営企画をやってる人・目指す人にはこの一冊とてもオススメです。 
戦略参謀の仕事――プロフェッショナル人材になる79のアドバイス

戦略参謀の仕事――プロフェッショナル人材になる79のアドバイス

 

 

こちらも(↓)ほぼ同じ内容ですが、小説風に書かれていて読みやすいです。比較的若い方とかはこちらの方がいいかも。