カスタマーサクセスの教科書として知られる通称「青本」↓
カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則
- 作者: ニック・メータ,ダン・スタインマン,リンカーン・マーフィー,バーチャレクス・コンサルティング
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2018/06/06
- メディア: 単行本
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その第9原則が「ハードデータの指標でカスタマーサクセスを進める」です。
上記の本は、「10の原則」がチェックリスト的に使えて実務的に非常に使いやすいのですが、
以下では、本の内容を紹介・補足しつつ、その実務上の意味合いについて考えたいと思います。
なぜ、ハードデータでカスタマーサクセスを進めるのか
一言でいうと、管理・改善が可能になるからです。
ただし、これにはいくつか前提があります。
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レベル①:初期段階
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レベル②:反復できる段階
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レベル③:定義された段階
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レベル④:管理された段階
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レベル⑤:最適化された段階
の5つの段階にがあるとします。
そして、レベル①の初期段階については、以下のように説明します。
レベル①初期段階では、業務は個人の英雄的な取り組みによって進められ、プロセスや反復性についてはほぼ考慮されない。CSMの目標は、「顧客が成功するように、そして必ず更新するようにどんなことでもしろ!」に近いものだ。
(悲しいかな、このレベル①の段階、大変心当たりがあります。。)
しかしそれでは長くは持たないのでその後、
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レベル②:反復できる段階
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レベル③:定義された段階
に進む。そして、③まで完了して「レベル④:管理された段階」に挑戦する段階で、本原則であるハードデータによる計測が必要になる、としています。
どうやって、ハードデータでカスタマーサクセスを進めるのか
この問いに関する青本の答えは非常にシンプルで、3つの視点と具体的な指標の例を示しています。
すなわち、以下の視点が提供されています。
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顧客とユーザーの行動
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指標の例)
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NPS
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ログイン数とログアウト数
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特定の製品機能/プラットフォームの利用状況
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カスタマーサクセスマネージャーの活動
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指標の例)
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顧客とのやり取りにおける種類ごとの頻度
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CSMが対応したサポートチケットの数
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リスク識別の瞬時性
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リスク低減活動の有効性
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事業の成果
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指標の例)
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総リテンション
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純リテンション
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収益増加率
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顧客リテンション率
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NPS
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これらのうち、顧客とユーザーの行動の指標については、注意点として「顧客側のユーザーの行動は顧客が生み出す事業価値の代用物でしかない」ことが挙げられています。
「ログインするためにソフトウェアを購入する人などいない」という、著者の一人であるニック・メータの言葉は秀逸です。
以上の視点と例を参考にすれば、多くの組織で指標の定義はできるかと思います。
考察 :段階を踏んだ上でのハードデータ・オペレーション構築は事業拡大の鉄則
本原則の注意点は、上記でも触れた通り、本原則はカスタマーサクセスのプロセスが反復・定義された後に取り組むべき課題ということです。
もちろん、それ以前の段階においてもできないことはありませんが、「勝ちパターン」が確立されていない中での、指標はあまり的を射ることはありません。
的を外してもすぐに見直せればいいのですが、一度数字が定義されると、不思議なもので自己目的化されがち。
なので、一定の勝ちパターンが確立して組織化されたカスタマーサクセスにおいて、この原則は適用されるべきです。
ハードデータの指標による計測のメリットは、著者による補足の中にある1on1のBefore-Afterが秀逸です。
まず、ハードデータの指標による計測の前
顧客の活動は全般的にどういう状況か。 チャーンのリスクが高い顧客はいるか。 過去60日間にわたってX社の課題に取り組んできたが、前進しているだろうか。 Y社でチャーンが発生した。何か別の対応は可能だっただろうか。 困っていることはあるか。
ハードデータによる計測後、こう変わる。
あなたの全顧客に対するヘルススコアの平均は、部署の他のメンバーより6点低い。点数を下げている要因は、上層部との関係のようだ。まずは最も点数の低い顧客から、この状況を変える計画を立てよう。 今後90日間に更新期限が来る顧客のうち、チャーンのリスクが高い対象が3件ある。対象顧客それぞれに対する実行計画を見直そう。 あなたのアップセル率は2番目のCSMより10パーセントも高い。驚くべき結果だ。全員が君のレベルに近づけるように、あなたのノウハウをスライド3枚程度にまとめて、次回のミーティングで共有してくれないだろうか。
なんか、通信教育とかセミナーの宣伝みたいですが。笑
経験上、事業・組織がスケールされる段階で人材の力に頼りすぎりと限界がきます。
そうではなく、ハードなオペレーションで物事を解決する姿勢はとても大切です。そして、これはカスタマーサクセスに限らず事業のあらゆる領域で同じ。
他方で、これを本当に徹底して更新し続けられる組織はばかりではない。
徹底度合いで割と差が出る原則なのかな、と思います。
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※他の原則についてはこちら↓
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