カスタマーサクセスの教科書として知られる通称「青本」↓
カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則
- 作者: ニック・メータ,ダン・スタインマン,リンカーン・マーフィー,バーチャレクス・コンサルティング
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2018/06/06
- メディア: 単行本
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その第8原則が「顧客の指標を深く理解する」です。
上記の本は、「10の原則」がチェックリスト的に使えて実務的に非常に使いやすいのですが、
以下では、本の内容を紹介・補足しつつ、その実務上の意味合いについて考えたいと思います。
なお、本記事は、Churn Rate / MRRなどの自社ビジネスの指標の話です。
ヘルススコアについて知りたい方は、こちらの記事をどうぞ。
なぜ、顧客の指標の理解が大切なのか
顧客の指標とは
前提として、
この章でいう「顧客の指標」とは、「顧客の利益率」のような顧客の成功そのものを測る指標ではなく
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解約率
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CMRR(既決月間定期収益)
のような、自社のビジネスに関する指標です。
なぜ、顧客の指標の理解が大切なのか
自社の成長に直結するからです。
青本の、以下の記述がわかりやすいです。
サブスクリプション型の会社が成功するには、収益の成長を堅持・加速できるか否かがチャーンやリテンションの内容次第であることを深く理解しておかなくてはならない。
サブスクリプション型の会社が初期段階に直面する最大の問題は、顧客をどうやって獲得するかだ。
しかし、会社が顧客増という難題を解決とするとすぐに、誰か -たいていCEOか財務担当- が会社の顧客数の合計と既決月間定期収益(CMRR:Contracted Monthly Recurring Revenue)が減少していることに気づくのである。
どうやって指標を深く理解するのか
青本では、以上のような考え方の下、チャーンとリテンションを定義・理解するステップとして、以下の5ステップを掲げています。
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計測方法とCMRRの要素を定める
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計測期間と頻度を定める
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CMRRの予想値とチャーンの種類を決める
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チャーンの疑いがある状態とチャーン間近の状態とを区別する方法を決める
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会社の上層部が足並みをそろえて、チャーンとリテンションの基準となる定義と報告方法を固める
以上について、青本では詳細な手順が説明されていますが、日本において特にあまり馴染みがないのはCMRRの概念だと思います。
まず、前提としてMRR(Monthly Recurring Revenue)について説明します。
MRRとは、月ごとに繰り返し得られる収益のことです。月額課金制のビジネスの基本的な指標の一つです。
CMRRは、MRRの頭に”Contracted”をつけた指標です。
CMRR = MRR + 獲得済み案件 - 解約予定案件
です。
要は、CMRRは「将来の」MRRだと思うとわかりやすい。
以上のようなCMRRの構造がわかると、「計測期間と頻度を定める」以降のステップについては、比較的理解しやすいのではないかと思います。
(ステップ再掲)
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計測方法とCMRRの要素を定める
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計測期間と頻度を定める
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CMRRの予想値とチャーンの種類を決める
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チャーンの疑いがある状態とチャーン間近の状態とを区別する方法を決める
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会社の上層部が足並みをそろえて、チャーンとリテンションの基準となる定義と報告方法を固める
青本の中では、「計測期間と頻度を定める」以降のステップについてもかなり詳細に解説されています。
ただ、本章で特に重要なのは、上記CMRRの概念の理解だと思います。
考察 :サブスク・SaaSの指標たち
前提扱いなのか、青本ではそこまで深く触れられていないのですが、
SaaSの指標は、既に一般的かつ体系的に、かなり高いレベルで整理されています。
例えば、以下のような指標たちです。
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Churn Rate
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Negative Churn
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ARR, MRR
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CMRR
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Unit Economics
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CAC
これらの指標は個別ではなく、セットで関係を覚えた方が絶対にいいです。
逆に、以上の指標の関係や自分のビジネスの現在値を答えられなかったら、黄色信号だと思った方がいい。
これらの指標と考え方は、相当洗練された方法論で、ほとんどのビジネスでそのまま適用が可能です。
この辺は、すでに日本でも様々なところで整理・紹介されています。
ということで、オススメの参考情報たち↓。
これを読むだけでも、結構「わかった気」になれる気がします。