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ハードデータの指標でカスタマサクセスを進める :カスタマーサクセス10の原則⑨

カスタマーサクセスの教科書として知られる通称「青本」↓
カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則

カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則

 

 

その第9原則が「ハードデータの指標でカスタマーサクセスを進める」です。
 
上記の本は、「10の原則」がチェックリスト的に使えて実務的に非常に使いやすいのですが、
以下では、本の内容を紹介・補足しつつ、その実務上の意味合いについて考えたいと思います。
 

※他の原則も書いています。このシリーズの目次はこちら↓

【目次】カスタマーサクセス「青本」10の原則 逐条解説的まとめ - B-log

 

ヘルススコアについてはこちらもまとめました。

 

なぜ、ハードデータでカスタマーサクセスを進めるのか

 
一言でいうと、管理・改善が可能になるからです。
 
ただし、これにはいくつか前提があります。
青本では、カーネギーメロン大学ソフトウェア工学研究所によるフレームワークを引用して、プロセス・組織には
  • レベル①:初期段階
  • レベル②:反復できる段階
  • レベル③:定義された段階
  • レベル④:管理された段階
  • レベル⑤:最適化された段階
の5つの段階にがあるとします。
 
そして、レベル①の初期段階については、以下のように説明します。
 
レベル①初期段階では、業務は個人の英雄的な取り組みによって進められ、プロセスや反復性についてはほぼ考慮されない。
CSMの目標は、「顧客が成功するように、そして必ず更新するようにどんなことでもしろ!」に近いものだ。

 (悲しいかな、このレベル①の段階、大変心当たりがあります。。)

 
しかしそれでは長くは持たないのでその後、
  • レベル②:反復できる段階
  • レベル③:定義された段階
に進む。そして、③まで完了して「レベル④:管理された段階」に挑戦する段階で、本原則であるハードデータによる計測が必要になる、としています。
 

どうやって、ハードデータでカスタマーサクセスを進めるのか

この問いに関する青本の答えは非常にシンプルで、3つの視点と具体的な指標の例を示しています。
すなわち、以下の視点が提供されています。
  • 顧客とユーザーの行動
    • 指標の例)
      • NPS
      • ログイン数とログアウト数
      • 特定の製品機能/プラットフォームの利用状況
  • カスタマーサクセスマネージャーの活動
    • 指標の例)
      • 顧客とのやり取りにおける種類ごとの頻度
      • CSMが対応したサポートチケットの数
      • リスク識別の瞬時性
      • リスク低減活動の有効性
  • 事業の成果
    • 指標の例)
      • 総リテンション
      • 純リテンション
      • 収益増加率
      • 顧客リテンション率
      • NPS
 
これらのうち、顧客とユーザーの行動の指標については、注意点として「顧客側のユーザーの行動は顧客が生み出す事業価値の代用物でしかない」ことが挙げられています。
「ログインするためにソフトウェアを購入する人などいない」という、著者の一人であるニック・メータの言葉は秀逸です。
 
以上の視点と例を参考にすれば、多くの組織で指標の定義はできるかと思います。
 

考察 :段階を踏んだ上でのハードデータ・オペレーション構築は事業拡大の鉄則

本原則の注意点は、上記でも触れた通り、本原則はカスタマーサクセスのプロセスが反復・定義された後に取り組むべき課題ということです。
 
もちろん、それ以前の段階においてもできないことはありませんが、「勝ちパターン」が確立されていない中での、指標はあまり的を射ることはありません。
的を外してもすぐに見直せればいいのですが、一度数字が定義されると、不思議なもので自己目的化されがち。
なので、一定の勝ちパターンが確立して組織化されたカスタマーサクセスにおいて、この原則は適用されるべきです。
 
ハードデータの指標による計測のメリットは、著者による補足の中にある1on1のBefore-Afterが秀逸です。
 
まず、ハードデータの指標による計測の前
  • 顧客の活動は全般的にどういう状況か。
  • チャーンのリスクが高い顧客はいるか。
  • 過去60日間にわたってX社の課題に取り組んできたが、前進しているだろうか。
  • Y社でチャーンが発生した。何か別の対応は可能だっただろうか。
  • 困っていることはあるか。

 

ハードデータによる計測後、こう変わる。
  • あなたの全顧客に対するヘルススコアの平均は、部署の他のメンバーより6点低い。点数を下げている要因は、上層部との関係のようだ。まずは最も点数の低い顧客から、この状況を変える計画を立てよう。
  • 今後90日間に更新期限が来る顧客のうち、チャーンのリスクが高い対象が3件ある。対象顧客それぞれに対する実行計画を見直そう。
  • あなたのアップセル率は2番目のCSMより10パーセントも高い。驚くべき結果だ。全員が君のレベルに近づけるように、あなたのノウハウをスライド3枚程度にまとめて、次回のミーティングで共有してくれないだろうか。

 

なんか、通信教育とかセミナーの宣伝みたいですが。笑
 
経験上、事業・組織がスケールされる段階で人材の力に頼りすぎりと限界がきます。
そうではなく、ハードなオペレーションで物事を解決する姿勢はとても大切です。そして、これはカスタマーサクセスに限らず事業のあらゆる領域で同じ。
 
他方で、これを本当に徹底して更新し続けられる組織はばかりではない。
徹底度合いで割と差が出る原則なのかな、と思います。
 
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カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則

カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則

 

 

経営は「実行」〔改訂新版〕

経営は「実行」〔改訂新版〕

 

 

顧客の指標を深く理解する :カスタマーサクセス10の原則⑧

カスタマーサクセスの教科書として知られる通称「青本」↓
カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則

カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則

 

 

その第8原則が「顧客の指標を深く理解する」です。
 
上記の本は、「10の原則」がチェックリスト的に使えて実務的に非常に使いやすいのですが、
以下では、本の内容を紹介・補足しつつ、その実務上の意味合いについて考えたいと思います。
  
なお、本記事は、Churn Rate / MRRなどの自社ビジネスの指標の話です。

ヘルススコアについて知りたい方は、こちらの記事をどうぞ。

 

なぜ、顧客の指標の理解が大切なのか

顧客の指標とは

前提として、
この章でいう「顧客の指標」とは、「顧客の利益率」のような顧客の成功そのものを測る指標ではなく
  • 解約率
  • CMRR(既決月間定期収益)
のような、自社のビジネスに関する指標です。
 

なぜ、顧客の指標の理解が大切なのか

自社の成長に直結するからです。
青本の、以下の記述がわかりやすいです。
 
サブスクリプション型の会社が成功するには、収益の成長を堅持・加速できるか否かがチャーンやリテンションの内容次第であることを深く理解しておかなくてはならない。
サブスクリプション型の会社が初期段階に直面する最大の問題は、顧客をどうやって獲得するかだ。
しかし、会社が顧客増という難題を解決とするとすぐに、誰か -たいていCEOか財務担当- が会社の顧客数の合計と既決月間定期収益(CMRR:Contracted Monthly Recurring Revenue)が減少していることに気づくのである。
サブスクリプション型の会社が長期にわたって生き残るには、チャーンとリテンションの両方を深く理解する必要がある。

 

指標の構造や意図を深く理解することが、ビジネスの成長につながる、ということです。 

 

どうやって指標を深く理解するのか

青本では、以上のような考え方の下、チャーンとリテンションを定義・理解するステップとして、以下の5ステップを掲げています。
 
  1. 計測方法とCMRRの要素を定める
  2. 計測期間と頻度を定める
  3. CMRRの予想値とチャーンの種類を決める
  4. チャーンの疑いがある状態とチャーン間近の状態とを区別する方法を決める
  5. 会社の上層部が足並みをそろえて、チャーンとリテンションの基準となる定義と報告方法を固める
 
以上について、青本では詳細な手順が説明されていますが、日本において特にあまり馴染みがないのはCMRRの概念だと思います。
 
まず、前提としてMRR(Monthly Recurring Revenue)について説明します。
MRRとは、月ごとに繰り返し得られる収益のことです。月額課金制のビジネスの基本的な指標の一つです。
 
CMRRは、MRRの頭に”Contracted”をつけた指標です。

CMRR = MRR + 獲得済み案件 - 解約予定案件

です。
要は、CMRRは「将来の」MRRだと思うとわかりやすい。
 

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CMRR
 
 
以上のようなCMRRの構造がわかると、「計測期間と頻度を定める」以降のステップについては、比較的理解しやすいのではないかと思います。
 
(ステップ再掲)
  1. 計測方法とCMRRの要素を定める
  2. 計測期間と頻度を定める
  3. CMRRの予想値とチャーンの種類を決める
  4. チャーンの疑いがある状態とチャーン間近の状態とを区別する方法を決める
  5. 会社の上層部が足並みをそろえて、チャーンとリテンションの基準となる定義と報告方法を固める
 
 
青本の中では、「計測期間と頻度を定める」以降のステップについてもかなり詳細に解説されています。
ただ、本章で特に重要なのは、上記CMRRの概念の理解だと思います。
 
 

考察 :サブスク・SaaSの指標たち

前提扱いなのか、青本ではそこまで深く触れられていないのですが、
SaaSの指標は、既に一般的かつ体系的に、かなり高いレベルで整理されています。
 
例えば、以下のような指標たちです。
  • Churn Rate
  • Negative Churn
  • ARR, MRR
  • CMRR
  • Unit Economics
  • CAC
これらの指標は個別ではなく、セットで関係を覚えた方が絶対にいいです。
逆に、以上の指標の関係や自分のビジネスの現在値を答えられなかったら、黄色信号だと思った方がいい。
 
これらの指標と考え方は、相当洗練された方法論で、ほとんどのビジネスでそのまま適用が可能です。
この辺は、すでに日本でも様々なところで整理・紹介されています。
 
ということで、オススメの参考情報たち↓。
これを読むだけでも、結構「わかった気」になれる気がします。
 

タイムトゥバリューの向上にとことん取り組もう :カスタマーサクセス10の原則⑦

カスタマーサクセスの教科書として知られる通称「青本」↓

カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則

カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則

 
その第7原則が「タイムトゥバリューの向上にとことん取り組もう」です。
 
上記の本は、「10の原則」がチェックリスト的に使えて実務的に非常に使いやすいのですが、
以下では、本の内容を紹介・補足しつつ、その実務上の意味合いについて考えたいと思います。

 

※他の原則も書いています。このシリーズの目次はこちら↓

【目次】カスタマーサクセス「青本」10の原則 逐条解説的まとめ - B-log

  

なぜ、タイムトゥバリューの向上が大切なのか

 
一言で言うと、「更新やアップセルに影響するから」です。
 
このことはセールスから製品導入に至る流れを想像するとわかりやすいです。
少し長いですが、青本本文の記載を引用します。
 
 営業の業務の大部分を占めるのは、潜在顧客に対して製品やソリューションを購入すれば確実にそこから価値が得られると納得させることだ。SaaSサブスクリプションの世界では、この価値を迅速にもたらすことがリテンションや収益拡大の鍵となる。約束されていた価値が得られていない(あるいは得られる前に)、更新や契約継続を選んだり、追加購入したりする顧客はいない。
 問題をわかりやすくするために極端な例で考えてみよう。12カ月の契約期間に対して、導入と運用に11カ月かかった場合と60日で完了した場合とでは、更新率はどちらが高いだろうか。
 
 
 

タイムトゥバリューを向上させる3つの秘訣

 
青本では、タイムトゥバリューを向上させる秘訣ととして、次の3つを掲げています。
 

具体的な成功の指標を決める

青本全体として「測定なくして管理なし」的な考え方なので、最初に「成功の指標を決める」が来るのは想像できた方も多いと思います。
 
ただ、この章で秀逸だと思うのは、顧客は「大枠の推進要因は挙げられても、具体的な指標は頭にないという顧客の方がずっと多い」と指摘している点です。
 
そういったケースへの対応策として、自分たちから
  • 指標のリストを見せて
  • 指標を決め
  • その基準値も決める
ことを青本は推奨しています。
 
そして、「この指標はオンボーディング部門にも伝えておくのが望ましい」とされています。
オンボーディングのキックオフMtgで顧客にこう確認すべき、とされているトーク例が秀逸です。
 
「お買い上げの時点では、従業員のオンボーディング期間を縮めることが重要な要素と伺いました。今もお変わりないでしょうか。でしたら、まずは現在のオンボーディング期間を確認させていただきます。」
 オンボーディングを開始していいのは、このように成功指標を明確に決めた後だ。

補足:上記引用でオンボーディングは2つの意味で使われています。

  • カギカッコ内の『オンボーディング』:顧客の新入社員が独り立ちするまでの期間(おそらく、この会話が従業員教育ツールか何かを想定しているのでしょう)

  • カギカッコ外の『オンボーディング』:自社が提供するサービスを顧客に使いこなさせるまでの一連のプロセス。SaaSにおけるオンボーディング。

 
こんなこと私も言われてみたい。
 

早い段階での価値達成に向けて何度も取り組む

指標が決まったら、次はその達成に向けて進むことになります。
 
その進め方について青本は、
価値達成への最速の道は、まず最も達成しやすい基準を満たすことだ
としています。
 
そして具体的なステップとしては
  • 第1段階:トレーニングとオンボーディング
  • 第2段階:潜在顧客のエンゲージメント
  • 第3段階(継続する):パフォーマンスの計測
の3つを掲げています。
 
そして、「第1段階のトレーニングとオンボーディングに集中してから」次のステップに進むべきとしています。
 
また、早い段階で価値達成する方法は他にもあるものの、「達成可能な小課題になるまで細かくしてから繰り返し取り組む」ことが大切だとしています。
 
 

すぐ調整する

タイムトゥバリューを上げる秘訣の最後は
「調整はすぐに行う。期待値が危機にさらされていることに気づいた瞬間に、すぐ行動に移す」
です。
これに関しては、以下の記述がわかりやすいです。
 
オンボーディング後数週間から数カ月におけるCSMの最優先課題は、顧客が定めた価値に必ず到達できるよう粘り強く取り組むことだ。それ以外の、従来のカスタマーサクセス業務(新機能の導入や四半期ビジネスレビューの実施など)はどれも、この最優先課題に比べれば二の次である。
  
以上のような秘訣を紹介して、本章は以下のように締めくくられています。

顧客が購入するのは、支払った金額をはるかに上回る価値がソリューションから得られると信じているからだ。だが、サブスクリプションビジネスでは、いつかそうなると言うことだけでは安心できない。顧客自身が価値の計測方法を把握できるように、そして更新連絡のずっと前の時点で指標が上向いていると感じられるように取り組まなくてはならないのである。

 

 

考察 :オンボーディングとは何なのか

 
青本の中でもこの章は非常に分かりやすく、実務的な示唆にあふれています。
 
上記でも紹介した、冒頭の「12カ月の契約期間に対して、導入と運用に11カ月かかった場合と60日で完了した場合」の比較は、「タイムトゥバリュー」の本質をよく表していると思います。
 
また、セットで語られることの多い「オンボーディング」についても、本章と合わせて読むことで理解が深まると思います。
「オンボーディング」の定義を作るとき、どうしても
  • XX機能を利用している状態
  • オンボーディングセミナーを受講し終わったこと
のような定義になりがちです。
でも、オンボーディングの本質はそうじゃない。
「顧客が価値を感じること」こそ、本当のオンボーディングに他ならない、ということが、本章を読むことで理解できるはずです。
 
 
さらに、第3原則「顧客が求めているのは、大成功だ」の中で語られる「顧客の幻滅期」についても、本章と合わせて読むことで理解が深まると思います。
 
実は、顧客を成功に導くには、製品が優れているだけでは十分ではない、会社が契約を得られるのは、営業部門が顧客に利益を与えられる成果物を販売して、ビジョンを描き「ソリューションから大きな見返りが得られる」という期待値を設定する大仕事をやってのけたからだ。
販売後、迅速に何らかの価値をもたらさなければ、経営陣が売上に盛り上がっている間にも勢いが失われて、ガートナー社が幻滅期と呼ぶ溝に落ち込んでしまうかもしれない。
 
タイムトゥバリューを短縮するには、結構な努力が必要です。
  • 顧客は、自分の中で成功の定義を持っているとは限らない
  • そのくせ、すぐに成功を求める
  • 成功への道のりは意外と複雑で、予想外のこともたくさん起こる
そんな障害を乗り越えるヒントが、青本のこの章には溢れていると思います。
 

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サブスクリプション――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル

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本当に拡張可能な差別化要因は製品だけだ :カスタマーサクセス10の原則⑥

カスタマーサクセスの教科書として知られる通称「青本」↓
カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則

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その第6原則が「本当に拡張可能な差別化要因は製品だけだ」です。
 
上記の本は、「10の原則」がチェックリスト的に使えて実務的に非常に使いやすいのですが、
以下では、本の内容を紹介・補足しつつ、その実務上の意味合いについて考えたいと思います。
 

※他の原則も書いています。このシリーズの目次はこちら↓

【目次】カスタマーサクセス「青本」10の原則 逐条解説的まとめ - B-log

 

 

なぜ、この原則が大切なのか。

端的にいうと
  • SaaSで製品は、一度作れば何百回でも提供できて
  • 顧客の成功を実現するのは、最後は製品そのものだから
の2点です。
 
正直、青本の中でもこの章は特に分かりにくいです。
が、例えば、著者による補足説明の下記から上述の2点が読み取れます。
 
会社全体の中で本当の意味で拡張可能なのは、製品だけだ。確かに、会社のどの部分も効率を高めればある程度の規模の拡張に耐え得るのだが、あなたが作る製品はどれも、いったん作ったら何百万人のユーザーに何百回も使われる可能性を秘めている。「一度作ってたくさん届ける」は、うまくいけば利益を生み出す秘訣なのだ。
最優先すべきなのは製品部門である。その一番の理由は、享受したい大成功へと続く唯一の道が製品であるという点だ。

 

 

どうやって差別化された製品にするのか

では、どうやって差別化した製品を作っていくのか。
本に書いてあることを大雑把に引用すると
 
 
この一言に尽きます。
 
その手段として、様々な方法を青本は紹介しているのですが、特にキーとなるシステムとしてPAC、COPを掲げています。
 

●PACとは

PACとは、製品諮問機関(Product Advisory Council)です。
PACの主要な活動として、以下のようなものが例示されています。
 
PACの内容は少しわかりづらいのですが、青本のビジョン・ベネフィットがわかりやすいです
 
ビジョン:製品諮問機関(PAC)とは、構造的相互的なプラットフォームだ。ここで顧客がフィードバックすると、今後の製品の方向性に影響を与えるという形でかいやの製品管理部門に協力することになる。
 
ベネフィット:PACは顧客基盤全体の代表として活動している。活動を通して、常に製品は顧客の長期的・短期的いずれのニーズにも適合し続けるため、更新率が上がるだけでなく、製品やサービスへの投資額も増えるし、他者にも推薦してもらいやすくなる。

 

PACは製品部門が管轄するものの、PACに参加する顧客にも役割と責任を明記すべきとします。
例えば、「会合への参加」や、「プロジェクトに適した設計の発見や試用への参加」などが、顧客に対する役割・責任として求められます。
 

COPとは

COPとは、実践コミュニティ(Community of Practice)です。
 
青本では、PACは製品部門が主となるのに対して、COPは「製品に関する事業プロセス、ビジネス手法、課題をテーマとした意見交換の場」であり、「様々な事業分野の相手とつながる協働フォーラム」だとしています。
 
以上のような形で顧客参加型プログラムを回し、顧客のフィードバックを全社に浸透させていくことで
「本当に拡張可能な差別化要因」である製品を洗練されたものにしていくべき、としています。
 
 

考察

本の内容に沿ったまとめは以上で、以下は考察です。
 
正直、青本の中でもこの章は一番わかりにくいと思っています。
 
内容をシンプルに示すと
  • 本当に顧客に成功をもたらすのは製品
  • 良い製品を生み出すには顧客の声が欠かせない
  • なので、顧客参加型プログラムとかを駆使しつつ、カスタマーサクセス部門と製品部門はフィードバックループを形成しなくてはならない
ということかな、と。
 
逆に、よくあるアンチパターンは「コミュニケーションしかしないCS部門」だと思います。
例えば、「お客様窓口」的な組織を、カスタマーサポート→CRM→カスタマーサクセスと、名前変えてきただけのような組織。
「結局コミュニケーション部隊でしょ」となりがち。
 
そんな部門だと、例えば、以下のような状態になりがちです。
  • VOC管理さえされてない
  • VOCはただのロングリストで、製品部門に的確に届ける仕組みがない。「正しい顧客」からのものがどれかもわからない。
  • VOCを製品部門に届けても、それがどういう優先順位で決まるのかのルールやリリース管理の仕組みがない
  • 顧客参加型のプログラムやエンゲージメントマネジメントなんて存在しない
  • カスタマーエクスペリエンス・・製品とは関係ないでしょ?
 
ここまで行かなくても、本当の意味で顧客接点部門と製品部門が、がっちり噛み合っている組織は多くないと思います。
 
例えば、カスタマーサポートやCRMを背景として作られたカスタマーサクセス部門は、特にそうなりがちです。
新しい組織でも、製品をローンチして一定の規模が出てビジネスが複雑になってくると、カスタマーサクセスと製品が離れがち。
 
そんな状況下で、この原則を貫く部門には、高い調整力とコミットメント、実行力が求められます。
しかし、そもそもの顧客接点部門はそれをミッションとして定義さえしていないことも多い。
 
だからこそ、一見当たり前に見える「製品は大切。それを磨くのは顧客。」をもう一度強調するために、この原則が必要があるのだ、と個人的には思っています。
 

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カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則

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バリュー・プロポジション・デザイン 顧客が欲しがる製品やサービスを創る

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サブスクリプション――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル

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ロイヤルティ構築に、もう個人間の関係はいらない :カスタマーサクセス10の原則⑤

カスタマーサクセスの教科書として知られる通称「青本」↓
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カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則

 

 

その第5原則が「ロイヤルティ構築に、もう個人間の関係はいらない」です。
 
上記の本は、「10の原則」がチェックリスト的に使えて実務的に非常に使いやすいのですが、
以下では、本の内容を紹介・補足しつつ、その実務上の意味合いについて考えたいと思います。
 

※他の原則も書いています。このシリーズの目次はこちら↓

【目次】カスタマーサクセス「青本」10の原則 逐条解説的まとめ - B-log

 

 
 

なぜ、ロイヤルティ構築に個人間の関係はいらないのか

カスタマーサクセスとロイヤルティの関係

 
話の前提として、カスタマーサクセスと「ロイヤルティ」の関係を整理したいと思います。
本書の第1章で、ロイヤルティは以下のように説明されています。
 
カスタマーサクセス とは、つまるところロイヤルティだ 
一般的には、2種類のロイヤルティがあるというのが定説だ。心理ロイヤルティと行動ロイヤルティである。
実は、カスタマーサクセスとは、心理ロイヤルティを生み出すための手段なのである。 

 

なぜ、ロイヤルティ構築に個人間の関係はいらないのか

青本のこの章は、タイトルづけが不親切だと思っています。
 
実際言っているのは
「ロイヤルティ構築に、もう個人間の関係はいらない」
というより
「ロイヤルティ構築を個人の関係でやるのは無理。代わりに体系化されたプログラムが必要」
だと思います。
 
エグゼクティブサマリーにも、以下のような記述があります。
 

現在は、ベンダーにとって顧客とやりとりできる体系的プログラムの構築は欠かせない。多くの会社では、顧客基盤の中で最大の割合を占める顧客に対して同サービスを提供するかが切迫した問題となっている。関係構築の手段として人手がかかるものではなく、テクノロジー寄りの方法を採ることが求められているのだ。「顧客の最も大きな層」とは、ここの年間支払額という点での価値は高くなくても、全体の成長に対しては大きな役割を果たしている層のことである。

 

体系化されたプログラムで達成できるから(そして個人間の関係ではやりきれないくらい顧客が広がるから)特にSaaSのようなビジネスでは個人間の関係は必須ではない、ということです。
 

この原則は、ハイタッチに適用されない

もう一つ重要なのは、この原則はハイタッチには適用されないということです。
著者による補足にも、以下のような記載があります。
 
実は、原則⑤はハイタッチ層の顧客にはまず適用されない。定義からして、個人的な関係を構築するのがハイタッチ客だからだ。

 

 

プログラムを強化する方法

そして、体系的なプログラムを強化するために、以下のような手順を紹介しています。
 
  • 自社の事業に合った指標で顧客をセグメント化する
  • セグメント毎に顧客カバレッジモデルを決める
  • 対象モデル毎に顧客とのやりとりの指針を作る
  • 顧客とやりとりする頻度を決める
  • 強固なロイヤルコミュニティを構築して顧客同士を結び付ける
 
いくつか用語の補足します。
  • 「セグメント化」は、多くの場合ARR(つまり収益性)で分類されます。要は大口・中堅・小規模と顧客を分けることです。ここまでは多くの日本企業でもやっている。
  • カバレッジモデル」は、要はハイタッチ/ロータッチ/テックタッチのどのモデルを採用するか、という話です。
 
 
 

考察 :体系的なCXプログラムを提供しよう

個人的には、この原則のタイトルはポジティブに「体系的なCXプログラムを提供しよう」とかが良いと思ってます。
SaaSにおいては、個人間の関係じゃなくて体系的なプログラムで成功に導くことが大切」というのが、この原則の言いたいところだからです。
 
そして「体系的なプログラム」、実際作ってみると結構難しいです。
 
手順は、本に書いてある通りなのですが、その中身がイケてないものになりがち。
例えばオンボーディングプログラム一つにしても、顧客毎の色々な変数を考慮しながら、「いい感じの最大公約数」をとって、ベースを構築しなくてはならない。
「全員セミナーを受けさせる」「四半期毎に訪問する」とかいう意思決定は簡単なのですが、中身がスカスカだと、CXの毀損にしかなりません。
この辺のグランドデザインこそが、旧来のセールスや受け身のカスタマーサポートではなくカスタマーサクセスという仕事の役割であり、腕の見せ所のなのかな、と思います。

 

 

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サブスクリプション――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル

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サブスクリプション・マーケティング――モノが売れない時代の顧客との関わり方

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「マーケティング」の2つの意味 :フレームワークの前に押さえたい基礎知識

要約

マーケティング」という用語は世の中にあふれていますが、結構わかりにくいです。
この理由の1つが、大きく2つの意味で『マーケティング』が使われているのに、それをちゃんと教えてくれる少ないからだと思っています。
 
先に結論を述べるとマーケティングには
1.大コトラー主義的「マーケティング」の定義
市場と向き合う活動「全部」的な意味合い。
 
2.狭義の「マーケティング」の定義
市場からセールスの対象となる「見込み顧客を見つけてくる」「集客」という意味合い。
 
という2つの意味合いがあります。
つまり、雑に要約するとこんな感じ↓

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2つの「マーケティング
結構雑な要約ではありますが、
マーケティング」の仕事を初めてやるとき、この違いをわかっていないと、ヤケドします。
一定の経験・知識があれば超常識なのですが、意外とこの違いを正面から説明してくれる人って少ない気がしています。
 

市場と向き合う活動「全部」 :コトラーマーケティングの意味

 
マーケティングとは、個人や集団が、製品および価値の創造と交換を通じて、そのニーズやウォンツを満たす社会的・管理的プロセスである。

 

コトラーが定義したマーケティングは上記です。
これは、市場と向き合う企業のプロセス全般を指します。
 
マーケティングの究極の目標は、セリング(販売)を不要にすることだ
というドラッカーの定義も、これに近いですね。
アメリカのマーケティング協会とかの定義もこっち寄り。
 
PESTとか、5 Forcesとか3C、4Pなんてフレームワークはこの意味の「マーケティング」をマネジメントするためのフレームワークです。

なんか抽象的で分かりづらいですね。
でも大丈夫。
一言で言うと、「なんか『市場と向き合う企業活動全部』みたいなこと言ってんだな」で十分です。
 

「見込み顧客を見つけてくる」 :狭義のマーケティング

もう一つの意味の「マーケティング」は、もっと狭い意味です。
 
こんな感じの絵、見たことありませんか?
こういうプロセスの一工程として位置づけられる「マーケティング」もあります。
 
この役割は、一言でいうと「見込み顧客を作ること」。
もっと極端にいうと「集客」とか「セールスのアタックリストを作ること」です。セールスの前工程ですから。
 
こっちは、とってもわかりやすい。
 
MA(Marketing Autmation)とか、Webマーケの「マーケティング」は、大雑把に言って、この意味での「マーケティング」の役割であることが多いです。
 

2つの「マーケティングの違い」

つまり、2つのマーケティングの意味合いを雑に図で表すとこういうことです。
 

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2つの「マーケティング

だいぶシンプルになりました。
 
 

なぜ、わかりにくいのか

これだけの話が、なぜわかりにくいのでしょうか。
 
世の中的には、「マーケティング」と言ったら、狭い意味でのマーケティング(=集客)を指していることは非常に多いです。特にIT・ベンチャー界隈だとなおさら。
 
だけど、ググると出てくるのは大コトラー主義的な「企業プロセスの全部」的な定義ばかり。
 
すなわち、
実際  :(企業プロセスの一部である)「集客」だけ
ググると:企業プロセス全部 
ってギャップで混乱する人が多い。
 
このギャップが、「マーケティング」の理解を困難にしている一番の理由だと思うのです。
 
じゃあ、実際は「集客」なのに、「企業プロセス全部」という定義ばかりが世の中に氾濫しているのか。
理由は2つあると思います。
コトラーさんの定義の方が威厳があるから(無視するとアホだと思われそうだから)
②「全部」とか言っちゃった方がかっこいいから。
てか、それくらいの話だと思ってます。
 
確かにコトラーが使っている意味で、「マーケティング」を企画・統括しているマーケティング部もたくさん存在します(個人的には、製造業とか古い会社に多いイメージ)。
しかし、実際上は「集客」の意味での「マーケティング部」もたくさんあります。
 

まとめ

コトラー的な意味合いでの「マーケティング」は高尚なので、ちゃんと理解するのは一部の人で良いと思います(この記事も、相当雑に要約してます)。
なので、「マーケティングって何?」と聞かれたら、私はこう答えたい。
 
  • 実は、2つの異なる意味で使われている。
  • 1つ目、かつWeb・ベンチャー界隈で圧倒的に多くの場合は「集客」「見込み顧客を(Webとかセミナーとかで)作ること」みたいな意味。セールスの前工程。
    • うちの組織もこっちの意味。
  • 2つ目は、「市場と向き合う企業活動全般」みたいな意味。
    • こっちは、理解できなければそれでOK。理解したければコトラーとか自分で読む気概を持ってください。

 

 

  

この1冊ですべてわかる 新版 マーケティングの基本

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コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント基本編 第3版

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絶えずカスタマーヘルスを把握・管理する :カスタマーサクセスの10原則④

カスタマーサクセスの教科書として知られる通称「青本」↓

カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則

カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則

 

 

その第4原則が「絶えずカスタマーヘルスを把握・管理する」です。
 
上記の本は、「10の原則」がチェックリスト的に使えて実務的に非常に使いやすいのですが、
以下では、本の内容を紹介・補足しつつ、その実務上の意味合いについて考えたいと思います。
 

※他の原則も書いています。このシリーズの目次はこちら↓

【目次】カスタマーサクセス「青本」10の原則 逐条解説的まとめ - B-log

 

なぜ「カスタマーヘルス」が必要なのか

一言で言うと、「予測と管理に必要だから」です。
 
青本ではこの問いに対して、「セールスの幹部による案件管理」となぞらえて、以下のように説明されています。
 
要するに予測と管理だ。
(中略)
これは顧客の将来の行動(更新、アップセル、チャーンなどの危険な状態)を示す日々の指標であり、自部署を日々管理できるものだ。CSMがチャーンやリテンション率を算出するまでに12ヶ月も待つ必要はないのである。

  

つまり、更新、アップセルなどの目的に対して、プロアクティブ(カスタマーサクセスとカスタマーサポートの最大の違いの一つ)に動くためには、カスタマーヘルスという概念が必要だということです。
 

カスタマーヘルスとは何か

本の中に直接的に定義した記載はないのですが、カスタマーヘルスに取り組む理由から、更新・アップセルなどの目的に対しての先行的な指標がカスタマーヘルスとなることがわかります。
 
本の中では、「どの会社も別物なのだから1つの方法で解決できるわけではない」としつつも、カスタマーヘルス全体の判定に使えるものとして、以下を例示しています。
 
  • 製品定着率
  • カスタマーサポート
  • 調査結果
  • マーケティングへの関与ど
  • コミュニティへの参加度
  • 契約金額の増減
  • 自立度
  • 支払い履歴
  • 幹部との関係性
 
以上のような項目を洗い出しながら、絞り込んだりして、カスタマーサクセスを定義しようとする取り組みそれ自体も価値があるものだとされています。
 

「管理」「把握」「絶えず取り組む」

そして、原則の残りの要素は「管理」「把握」「絶えず取り組む」です。
 
ここはそれほど複雑ではありません。
カスタマーヘルスは「管理」されなくてはならない。つまり、眺めているだけではダメで、目的(契約更新やアップセルなど)のために、点数を上げる行動に繋げなくてはならない。
その超前提としてカスタマーヘルスは「把握」されなくてはならない。
そして、成功に導くためには、「絶えず」カスタマーヘルスの改善に取り組み続けなくてはなくてはならない。
という話です。
 
 

考察 :実務上のカスタマーヘルス定義

青本の内容に沿ったまとめは以上で、以下はおまけです。 
 
この原則を自分のビジネスで適用しようとすると、「カスタマーヘルススコアを具体的に何にするか」に迷うと思います。が、本では「どの会社も別物なのだから1つの方法で解決できるわけではない」として、例示をするにとどまっています。
 
様々な情報を見ると、以下のような観点が重要なようです。
 
目的志向
「更新率(解約率)」「顧客単価」あたりが、カスタマーサクセスの上位指標だとすると、カスタマーヘルスはこれらの要素となっている(ヘルススコアが改善すれば、継続率/顧客単価が改善する)という関係に関係にならなくてはなりません。
 
先行指標
「解約率」などをプロアクティブにコントロールするために、カスタマーヘルスを把握するのですから、カスタマーヘルスは先行指標でなくてはなりません。
 
データ志向
一定の歴史を持つビジネスなら、カスタマーヘルス指標と上位指標との紐付きは、基本的にデータ分析によって検証することが可能です。「機能XとYを利用すれば、8割は解約しない」みたいな。
ですので、カスタマーヘルス指標と上位指標の紐付きはデータによって裏付けられる必要があります。
 
重点志向
カスタマーヘルスの指標は無限にありますが、それらが全て同等の重要さを持つことは稀です。
上位指標に合わせてカテゴライズしながら、重み付けして把握・管理する必要があります。
個人的には、コントロールしきれないなら、思い切って「すごく効く1つか2つの指標にフォーカスする」というマネジメントが有効な局面も多いように思います。
 
 
とにかく上位指標との紐付けが重要で、そこだけ理解できれば設計はうまくいくのかな、なんて思ったりします。
 
私がこれまで関わってきたビジネスでは、「圧倒的に解約予測に効く1-2の指標」が存在し、それ以外はあくまで「従」みたいなケースが多かったです。
 

ヘルススコア設計については別にまとめました